「学校に行っていない僕は大人になれないんだ」長男の言葉に絶句。親子の《とまり木》を作ると決心した7児の母
「不登校で悩む家族は自分たちだけではない」と気付く
こうして長男が自宅で学ぶのを見守るようになった生駒さん。 「鉱石について自分なりに調べたり、生活の場にある身近なものを使って物理の実験をしたりして、興味のあることをとことん追求して学んでいました。でも、楽しそうに学んでいたはずの長男からある日、『学校に行っていない僕は、脳が退化して大人になれないんだよ』と言われた時は驚きました。面と向かって他人から言われることはなくても、不登校に対する周りの厳しい視線を敏感に感じているんだな、とショックでした」 その後、二度「学校に戻りたい」と意欲を見せた生駒さんの長男ですが、実際に登校してみると、やはり授業スタイルになじむのが難しく、生駒さんと一緒に「おうち学校」を継続することに。 生駒さん自身にとってもつらい時期が続き、一時は布団から起き上がれなくなるほど気分が落ち込んだことも。 それでも、なんとか二人で学びのスタイルを確立することができました。 「ただ、長男の『僕は大人になれない』という言葉は忘れることができませんでした。さらに、周りのママ友からも『子どもが小学校に入ってすぐ不登校になった』といった話を聞くようになり、私たち家族と同じように悩んでいる人はたくさんいるんだ、と実感したのです。何か自分にできることはないか、と模索するようになったのはそのころからでした」
SNSでの呼びかけをきっかけに「多様な学びプロジェクト」を立ち上げる
そして生駒さんが行動を起こしたのが2017年、長男が10歳になったころでした。 「学校以外で学んでいる子どもや家族が安心して過ごせる場をつくれるよう、何かやってみたいと強く感じました。長男に話してみたら、『僕もできることは手伝うから、やってみようよ』と背中を押してくれたんです。その言葉に励まされてSNSで自分の思いを発信したところ、本当にたくさんのかたが協力を申し出てくださって、まずは集まってくれたメンバーと会議をするところから活動を始めました。長男も何回か会議に参加してくれました」 長男に励まされて最初のアクションを起こした生駒さん。その思いが多くの人に届き、活動は大きな広がりを見せることになったのです。