横浜DeNAの新外国人オースティンが「4の4」決勝打の衝撃先発デビュー…9割完成の2020年型ベイ打線の脅威
横浜DeNAが23日、横浜スタジアムで行われた中日戦に3-0で快勝、連勝で2勝2敗の勝率5割に戻した。右腕に不安があった新外国人タイラー・オースティン(28)が「3番・ライト」で今季初めてスタメン出場すると、期待に応え、5回の決勝タイムリーを含む4打数4安打の衝撃デビューを果たした。守っては、先発の浜口遥大(25)が8回3分の1で10安打を浴びながら7奪三振無失点に抑える粘投を見せ、優勝候補にふさわしい“2020年型ベイ野球“を披露して中日を撃破した。
変化球の誘いに乗らない見極め力
ヒーローとなる舞台は整っていた。ハイライトは5回。0-0で迎えた一死一、二塁で今季初スタメンのオースティンに打順が巡ってきた。中日の柳が投じてきた外角のストレートに初球は空振り、2球目はファウル…先に追い込まれた。 だが、どこかのチームの新外国人とは違い、オースティンはフルスイングしていた。しかも、ここまで2打席連続安打…柳の心理に微妙な警戒心を与えた。 日本に来たばかりの外国人が不得意とするボールゾーンの変化球で勝負すべき場面だったが、柳の手元が狂った。3球目のシンカーはワンバウンド。4球目のカーブも明らかなボール球で、しかも、オースティンは、ピクリとも、それに誘われず2球を見送って18.44メートル間にある心理戦で、その立場を逆転させたのである。 142キロの高めのストレートだった。ボールのうわっつらを思い切り叩いた。打球は強烈なラインドライブを描きレフト前へ。ついに均衡を破った。 「チャンスの場面で打ててうれしいよ。あの打席の感触はよかったが、全打席、いかなる打席でもチームに貢献しようとの思いで打席に立っている」 オースティンは一塁ベース上でニコリともしなかった。
ヤンキース、ジャイアンツ、ツインズ、ブルワーズでプレーしたメジャーの4年間で通算33本塁打。2016年のヤンキースでのメジャーデビュー戦では、あのアーロン・ジャッジと、一緒のデビューとなりアベック本塁打を放っている。人生のハイライトで光輝ける強い運命を持つのだろう。 ドラフトの因縁の同期である浜口と投げ合った柳は、「相手投手がいいピッチングをしていたので先に点を与えたくなかったが粘れなかった。相手チームのキーになるバッターに打たれてしまった」と、下を向いた。二死後、5番のロペスもしぶとく一、二塁間を抜くタイムリーで続き、貴重な2点目が入った。6回には、6番の宮崎にもソロアーチが飛び出している。オースティンの存在が波及効果をもたらし打線を覚醒させた。 試合前、ラミレス監督は「1番から6番まで9割、理想の打線ができた。相手投手に恐怖感を与えることのできる打線だ」と語っていたが、オースティンが入ったことで「9割完成」の2020年型ベイ打線が柳に目に見えぬ恐怖を与えて攻略したのである。 複数の評論家諸氏が、5人登録OKとなった外国人枠の恩恵を最も受ける球団として、ソト、ロペス、オースティンの3人を並べることができる横浜DeNAを評価し、優勝候補に挙げていた。そのアドバンテージをさっそく勝利につなげた。メジャー移籍した筒香の不在を嘆く声をかき消した。 オースティンは、7回の第4打席にもヒットを打ち「4の4」の鮮烈デビュー。ラミレス監督も「彼にとってパーフェクトな1日になった。日本で、この先、何年も長くプレーできるポテンシャルがある。戻ってきてくれて良かった」と、手放しだった。指揮官が評価したのは、公式戦で変わった配球に対応できたことだ。 「オープン戦と違う攻め方をされていた。インハイ、低めのボール球、アウトサイドと、責められたが、決して簡単ではない球をしっかりと打った」 第1打席は、様子をうかがってきた外角のストレートをセンター前へ返し、第2打席は、落ちるボールで揺さぶられたが、最後はカットボールを詰まりながらもライト前ヒットにした。そして鈴木博に代わった第4打席では、初めてインサイドを攻められたが、インハイの149キロのストレートを、またつまりながらもセンター前へ返した。全配球パターンに対応し、広角に打ったのである。 練習試合で26打数10安打3本塁打7打点と日本野球への対応力を示していたが、この段階での相手は“お試し配球“である。今後、本番で苦しむ不安が消えたわけではないが、好スタートを切れたことは、今後、データ戦でも一手先を行くことができる。