《ブラジル》記者コラム 「在外邦人の45%孤独」は本当か? 全体の声を代弁していない調査では
日本国住民である外国人のメンタルケアは?
コラム子的には在外邦人は自己責任、もしくは会社のサポートを得て渡航している人が大半なので、外務省に心配してもらう必要はさほどない気がする。 外務省サイトには日本国内の5NPO団体のリンクが張られ、《人には言えない悩みや不安で苦しんでいませんか? 悩みをおもちの方々はご利用ください》と書かれているが、さて、日本のNPOにどこまで各国ごとに事情が異なる文化や風習や考え方の違い、カルチャーショックやホームシック等を親身になって相談に乗ってもらい、理解してもらえるのか―と少々不安になる。 むしろ、日本政府がもっと気を掛けるべきなのは国内在住の永住外国人のメンタルケアではないか。彼らは「日本国籍者=日本国民」ではないかもしれないが、永住ビザを持っている以上は本来「税金を払っている日本国住民」ではあるはずだ。 在日ブラジル人問題に詳しい心理専門家の中川郷子さん(67歳、東京都出身)に尋ねると、「ブラジル人はすごい寂しがり屋さん。パンデミックの悪影響を調べた3年前の調査ではブラジル人の50%が『頻繁に孤独を感じる』と答え、世界一になりましたが、日本はわずか16%で28カ国中27番でした。それもあって、日本で精神的なストレスを抱えているブラジル人は多い。日本にいても、どこに、誰に助けを求めていいか分からない人は多い。たとえ相談しても、うまく伝えられないことも多い。同じ言葉を使う人と一緒にいても仲良くなれないことがあるのに、言葉も文化も違うところに住んでいたらもっと難しいのは当然のこと」とサラッとコメントした。
厚生労働省傘下の独立行政法人福祉医療機構の助成を受けて、東京の在日ブラジル人を支援する会(NPO SABJA)がブラジルから中川さんら3人の心理専門家を招聘して9カ月間にわたって実施した在日ブラジル人を対象とした心理カウンセリング提供事業の報告書の結語には、次のような言葉があった。 《多くの相談で、多種の専門家チームでネットワーク構築の必要性が示された。多くの相談者は多種の医療専門家、ソーシャルワーカー、理学療法士、言語療法士、弁護士、地域のNPOに紹介する必要性があった。従って、このように広範囲でブラジルの専門家を準備することは事実上不可能でしょう。そのため、このプログラムに携わっている心理学者が、心理療法の理論と知識の実施に限らず、そして、受け入れ社会との繋がりを持たないまま活動せず、日本の専門家との対話を持ち、一緒に、新しい活動の提案を探ることが適当と考えられる。おそらく、このような措置は、両国の専門家にとって成長をもたらすと思われる》 つまり、外務省が本気で在留邦人の心理カウンセリングをするなら、日本と現地国の両側の専門家が協力体制を作る必要があるのではないか。と同時に、その仕組みを在日外国人に対しても機能するようにすれば一石二鳥では。(深) •https://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/kodokukoritsu.html (2) https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_009089.html (3) https://www.youtube.com/watch?v=0TqzkTQ6r4I (4) https://www.youtube.com/watch?v=HgD1n2eYrgY