《ブラジル》記者コラム 「在外邦人の45%孤独」は本当か? 全体の声を代弁していない調査では
「外務省の皆様へ」と投稿するユーチューバーも
これに対し、在外邦人向けのユーチューブch《週末海外ノマド「ダイスケ」》では、3日付動画《【速報】外務省が初調査、海外の日本人「孤独を感じる」45%、これは国内より高い数字》(3)で早々にこの調査結果を報じると、231件もコメントがついた。 その反響は通常の2~3倍もあったために、次の7日付動画「海外在住者のリアル=〝生の声〟。「孤独を感じる」45%の裏側を報告します」(4)でも第2弾として続報している。 二つの動画のコメント欄を見てみると《オランダの社会では高齢者や社会の少数派の孤立についてよく取り上げられています。ようやく日本の外務省も動いたか、と評価しています》と感謝する声も。 さらに《日本国内より5・6%高いだけ、だから「海外が」って騒ぐほどの数字ではない。逆に仕事で行きたくない国に赴任中、言葉の問題などの事情もあるだろうからこの数字は高くはないでしょ、と思う。そもそも「孤独」を〝良くないこと〟と勘違いしている人も多い。あと、コメントでびっくりしたのは外務省は冷たいみたいな意見が、いったい外務省に何を求めているのでしょう?》という冷静な見方も。
本来、この種の調査は移住者を中心とした「永住者」と、駐在員や留学生などの「長期滞在者」を区別しないと、心構えの点でまったく異なると思う。別の調査「海外在留邦人数調査統計」では分けられているが、今回は区別がない。 永住者の大半は自分で選んでその国に住んでいるので、もともとネガティブな事態に心構えができている。だが駐在員やその家族のように自ら望んだ訳でもないのに外国に赴任した場合は、置かれた環境に納得するまでにストレスを感じることも多いだろうと推測される。そんな大変な状況の割には「孤独」が少ないという意見であり、納得できる。
「孤独=自由」「回答は全体を代表しない」の声も
だが、それ以上に違和感を受けている反応もたくさんあった。例えば《「孤独」はいいんですよ。考え方を変えると究極の自由を得ているわけですから。しがらみも、誰かのために使う時間も考えなくていい。気持ちを切り替えれば乗り切れるし、充実した生活に変えていくこともできるかもしれません。問題は「孤立」。「孤立」した状況に立たされると、今度は「不安」が増大します。この不安と戦うのがストレスでキツイ。抱えている問題が、たくさんあろうものなら「ああ、一人で解決しなきゃいけないんだ」と、孤立感が強調されてしまいます。 外務省もこんな調査する手間暇あったら、「外国籍取ったら日本国籍剥奪」をはじめとして、海外に住む日本人に立ちはだかる不安材料を具体的に調査して、取り除く方向に行ってほしいです。日本の政策が海外在住者に孤立感を持たせるようなこともあることに気付いてほしい》 特に後半に同感だ。 《まず孤独を感じてない人はこういうアンケート答えないですよ。仕事も人生も充実していますし… この統計、多分母数が間違っているのでは?》にも膝を打った。 在留届を提出している邦人に対し、外務本省から領事メールの形式で調査票を送付し、オンライン上で回答を回収したそうだ。そもそも80歳以上の本紙印刷版読者の多くはインターネットもセルラーもやらない。おそらく在留届を出していない人もかなりいるだろうし、連絡手段がメールであればその時点で対象から外れてしまう。