深刻すぎる「若手不足」…日本の製造業は「高齢者と外国人が主戦力」になっているという現実
一番求められるのは「若者の突破力」
製造の現場と並び、製品企画開発部門も人口減少の影響を大きく受ける。 製造業の製品企画開発に携わる専門家や技術開発者の中高年齢化は、新しいアイデアを着想する力や社会の新しいニーズを取り込む力を弱め、新技術や新商品を開発する力の衰退を招く方向へと作用しやすくなる。 資源小国の日本は今後も知恵と技術によって国を興すしかなく、人口が減少するほど技術立国であることの意味は大きくなる。製造業における技術力や開発力の劣化は、当該企業のみならず、日本という国にとっての死活問題だ。 そうでなくとも、先述したように製造業はカーボンニュートラルやDXといった事業環境の大きな転換期を迎え、製品企画や技術開発部門はその対応に追われている。高品質のものを安価で提供すれば売れた時代が終わり、各国ごとのニーズに対応したカスタマイズ製品の開発も求められている。 開発の最前線が中高年社員中心でマンネリズムの支配を許す組織文化では、若い開発者が躍動する外国企業に太刀打ちできない。 まさに各企業が総合力で勝負しなければならなくなってきており、求められるのは若者の突破力だ。そんなときに、社会や人々のニーズの変化に敏感な若い研究者や技術開発者を十分確保できないようでは勝負にならない。1990年代半ば以降の日本のものづくりの衰退の要因はここに根差していると言ってよい。このままでは、ますます革新的なヒット商品が日本から誕生しづらくなる。 つづく「日本人はこのまま絶滅するのか…2030年に地方から百貨店や銀行が消える「衝撃の未来」」では、「ポツンと5軒家はやめるべき」「ショッピングモールの閉店ラッシュ」などこれから日本を襲う大変化を掘り下げて解説する。
河合 雅司(作家・ジャーナリスト)