肛門科医が警鐘を鳴らす「慢性的な便秘」につながるNG習慣
モーニングルーティンはNG
突然ですが、あなたは1回のトイレにどれくらい時間をかけていますか? 中には「落ち着くから」と、30分とか1時間もトイレにこもって本を読んだり、スマホをいじったりしている人がいますが、それは危険です。なぜなら便座に座ると肛門が座面より下になり、おしりに負担がかかるからです。 トイレは、原則5分以内が理想。便意もないのにトイレに行ったり、残便感があるからと無理にいきみ続けたりせず、出ないときはいったんトイレから出てください。水を飲む、カラダを軽く動かすなどして、再度便意を感じてからトイレに行くようにしましょう。 慢性的な便秘の人の中には、規則正しい排便のために「朝起きたら1杯の水を飲んで決まった時間にトイレに入り、おなかのマッサージなどをしながら10分くらい便座に座って便意がくるのを待っている」というモーニングルーティンをしている人がけっこういます。しかし、出口の便秘の場合は、朝の排便にこだわらなくても大丈夫です。 もちろん、朝は排便のゴールデンタイムで、朝排便できると、一日の活動がしやすくなる人は多いでしょう。ですが、便意がないのにトイレに行っても、便は出ません。逆に無駄に気張る習慣をつけると痔の原因をつくってしまいます。
排便に必要な3つの力を備えよう!
正常な排便には、①便感知力、②共腸力、③排出力、という3つの力が必要です。 「便感知力」とは、(肛門内の)便の有無がわかる、感じる力のこと。肛門に便をためすぎなければ感覚がマヒせず、下りてきた便をすぐに感じられる体質になります。 「共腸力」は、便を感知したら腸のぜん動運動が起こって便を押し出そうとするはたらきを起こす力です。この力を利用することで便が出やすくなります。 「排出力」は、便が下りてきて肛門が弛緩する「排便反射」を利用して、無理なく排便する力です。3つの力のうち、どれが欠けても正常な排便ができなくなります。 3つの力のうち、私たちが意識してコントロールできるのは排出力だけです。「排便反射」は長時間続くわけではなく、便意が起こったときに排便しないと、出残り便となり、トイレを我慢して排出力を抑えると、共腸力が低下します。 このような状態が続くと便感知力も衰え、反対にためられる出残り便の量がどんどん増えて、出口の便秘がひどくなってしまうのです。 朝の排便にこだわる必要がないことは述べました。便意がきたら昼でも夜でも外でも職場でも我慢をしないで、すぐにトイレに行く習慣をつけて排出力を取り戻しましょう。