コレステロールの本当の話/医師で作家・鎌田實の「鎌田式 究極の若返り健康術」
「鎌田式 究極の若返り健康術」<22> コレステロールは、人間の細胞膜を作るためにどうしても必要なものです。脳や肝臓、神経組織などに多く含まれ、性ホルモンやステロイドホルモンなど、人間が生きていくうえの大事な物質の原料です。 しかし日本では、コレステロールが高くなると動脈硬化が起きるということで、コレステロール下げる薬がよく使われます。 ・コレステロールパラドックス アメリカでは、70歳以上の人にはコレステロールを下げる薬は使わないと言われています。ぼくの内科外来でも70歳以上の方にはコレステロールの薬をやめるよう努力をしています。 「コレステロールパラドックス」という言葉があります。65歳を超えると、コレステロールが少し高い人の方が寿命が長いという論文が出始めています。 40歳から65歳までの人は、食生活に気をつけながら、運動することを勧めます。LDL(悪玉)コレステロールは、現在140以下が正常値と言われていますが、180ぐらいまではできるだけ薬に頼らず、生活習慣を改善するよう指導しています。 ・スタチン系薬は肝臓がんを予防 一方でコレステロールを下げる薬(スタチン系薬)には、体の炎症を抑えたり、肝臓の線維化を防ぐ効果があり、脂肪肝発症リスクが15%も低いことが分かりました。コレステロールを下げる薬が、肝臓がんの予防になっているということです。お酒を飲む人や、脂肪肝のある高脂血症の人には、場合によってはスタチン系薬を続けるようにしています。