久保建英の反骨心を刺激した「心ない言葉」
利き足の左足に心地よい感触を残し、胸中には呪縛から解き放たれた安堵の思いを抱きながら、ヨーロッパの4大リーグにおける日本人最年少ゴール記録を12年ぶりに塗り替えた18歳が、約8ヶ月ぶりに東京五輪世代となるU-22日本代表に合流した。 10日のビジャレアルとのラ・リーガ1部第13節で移籍後初ゴールを決めたMF久保建英(RCDマジョルカ)が13日、広島市内で行われているU-22日本代表合宿に初日から2日遅れで参加。約30分間の軽めのメニューで練習を終えた後に、まだ記憶に新しいゴールを意外な言葉で振り返った。 「やっぱり数字で結果を残さないと心ない言葉とかも、何て言うんですかね、まあ見えたりしますし、そういう意味では自分の結果で周囲の反応とかを変わらせるしかないと思っていたので。そういうことがひとつできて、よかったと思っています」 マジョルカのホーム、エスタディ・デ・ソン・モイシュへ駆けつけた、ファンやサポーターの目の前で待望の瞬間は訪れた。2-1とリードして迎えた後半8分。右サイドからゴール中央へシフトしてきた久保が、左サイドにいたMFアレックス・フェバスへ小さく手招きしながらパスを呼び込んだ。 右足でトラップしたボールの置き場所を軽く整えた直後に、迷うことなく左足を振り抜く。ペナルティーアークの左側、約18mの距離から放たれた強烈な弾道が美しい弧を描きながら、ゴールの右隅へと吸い込まれていく。ダイブした相手キーパーもまったく手が届かない完璧な一撃だった。 このときの久保は18歳5ヶ月6日。スペイン、イングランド、イタリア、ドイツのヨーロッパ4大リーグにおいて、FW森本貴幸(現アビスパ福岡)がセリエAのカターニャ時代の2007年1月に初ゴールを決めたときの18歳8ヶ月21日を更新する、日本人最年少ゴールでもあった。 同時に肩の荷を降ろす一発でもあったのだろう。今夏に電撃的に加入した世界一のビッグクラブ、レアル・マドリードから期限付き移籍して、ビジャレアル戦はちょうど10試合目の出場だった。期待が大きかった分だけ、初ゴールを決めるまでに要した505分間は長すぎると受け止められていたのか。