久保建英の反骨心を刺激した「心ない言葉」
ゆえに森保監督はメンバー発表の場で、コロンビア戦へ向けて招集した22人を「現時点におけるベストメンバー」と明言。兼任するフル代表の指揮官として14日のキルギス代表とのアジア2次予選を戦った後に、敵地ビシュケクから広島入りしてコロンビア戦の指揮を執る。 「自分だけでなくみんなが今回選ばれたことに誇りをもって、なおかつ責任を感じながら今回の親善試合を戦うことで、観に来てくれる方々に『いいチームだ』と思ってもらわないと。(今後へ向けて)期待してもらえるようなサッカーができれば」 コロンビア戦の意義をこう位置づけた久保自身、一生に一度訪れるかどうかわからない、母国で開催されるスポーツ界最大の祭典の舞台に立つ自分の姿を常に思い描いてきた。 「オリンピックに関しては代表の枠が少ないなかで、その枠を争っていくものだと思っていますし、その枠のなかに入りたいという気持ちが変わったことはないですね」 U-22代表が長く採用してきた[3-4-2-1]システムがコロンビア戦でも継続される場合、中盤の攻撃的なポジションは、1トップの背後に左右対で並ぶシャドーの2人となる。今回は久保をはじめ、三好康児(ロイヤル・アントワープFC)、食野亮太郎(ハート・オブ・ミドロシアンFC)、そしてU-22代表に初めて名前を連ねる堂安律(PSVアイントホーフェン)とすべてヨーロッパ組となる。 「ヨーロッパ組だから、ではなく、それぞれのチームで結果を残している選手が呼ばれていると思っています。その意味ではどこでプレーしているのかとか、所属しているクラブで先発メンバーが決まるわけでもない。今回は残された練習が少ないけど、そのなかでよりいい状態の選手が選ばれると思う」 招集されたヨーロッパ組8人のなかで、4大リーグでプレーしているのは久保だけとなる。フル代表の一員として、ワールドカップ予選でプレーしたのも久保と堂安しかいない。それでもフル代表で培った経験などを還元して、などという役割を担うのか、という問いに対しては苦笑を浮かべた。 「立場はどうであれ、いまはU-22代表の選手としてこうしている。みんなで切磋琢磨して、言いたくないようなことも言い合えるような関係があることが強いチームだと思うので。お互い遠慮することなく、いろいろなことを言っていけたらいいと思っています」 久保や堂安らが合流した13日をもって、招集された22人全員が顔をそろえた。14日にはサンフレッチェ広島との練習試合を実施。ピッチのなかでコンビネーションを、外ではコミュニケーションを深めながら、コロンビア戦へ臨むチームへ久保は自らを適応させていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)