トヨタ クラウン「FCEV」で行く旅の目的地は、水田に浮かぶホテル!?
夏の終わりにドライブデートで向かったのは、山形県・鶴岡市の水田に浮かぶように立つホテル「スイデンテラス」。相棒には、トヨタの新生クラウンFCEV(燃料電池車)ほど最適なクルマはありません。水素を燃料とし、排ガスを出さない乗り心地快適な近未来型EVは、目的地の環境にも助手席の彼女にもやさしいのですね。
最古の歴史を誇る日本車モデルの最新型EV
モテるオヤジには日々の自己研鑽が欠かせません。そして積み重ねたスキルや能力を裏打ちするには、どれほど基本が大事であるかを知っているはず。時には立ち止まり、先人から受け継がれてきた古から伝わるあれこれについて想いを馳せてみようじゃありませんか。古きをたずねて、新しきを知る。今回は、いつの時代も高級車として地位を受け継いできた、トヨタ 新生クラウンのFCEV(燃料電池車)とともに温故知新の旅に出かけるとしましょう。
山形自動車道、鶴岡ICからわずか数分。日本有数の米どころ、山形県の庄内平野。その田園風景のなかにスイデンテラスはこつ然と姿を現します。設計を担当したのは環境との調和や持続可能性を重視したデザインで有名な建築家・坂 茂氏。そのギャップで掴みはOKです。
新生クラウンはセダンのみFCEV(燃料電池車)に
初代クラウンが誕生したのは、1955年のこと。実に69年間で16世代と、日本車のなかでももっとも古い歴史をもつモデルです。ご存知のとおり、クラウンといえばセダン。日本人の思い描く理想の高級車として官公庁の公用車や企業の社用車としても重用されてきました。 2022年に発表された、現行の新生クラウンは多様性を謳い、クロスオーバー、SUV、ステーションワゴン、そしてセダンと4つのボディタイプを用意。そうしたなか、セダンにだけはクラウンの伝統である後輪駆動用のプラットフォームを用いながら、FCEV(燃料電池車)をラインナップするという新たな挑戦を行っているのです。
ここで改めてFCEVの説明を。FCEVは、水素を燃料とし、酸素との化学反応で発電してその電気エネルギーを使ってモーターで走行をするクルマのことを言います。したがって乗り心地はEVと同様のもの。EVは外部充電が必要で、それに時間を要しますが、FCEVなら水素充填にかかる時間はわずか3分。ガソリン車の給油とまったく変わりません。問題は水素ステーションの数がまだ少ないことですが、近年規制緩和が行われ、いま全国で配備が進んでいますから、少し下調べをしておけば大丈夫。 道中は福島県にあるステーションに立ち寄りましたが、彼女も初めての水素充填に興味津々の様子。FCEVは量産化が難しく、インフラの課題もあり、現在乗用車として市販しているのはトヨタとヒョンデのみ。しかし、近未来の物流を変える技術として注目が高まっています。何よりFCEVは排気ガスが出ません。出るのは水だけ。「水田に向かうのにこれ以上最適なクルマなんてないよね」と話すと、助手席の彼女も自然と笑顔になりますよ。