トヨタへのOEM供給も決定 スズキの世界戦略EVの第1弾、e ヴィターラがデビュー
2025年夏頃から順次発売
トヨタやダイハツと電気自動車=バッテリーEV(BEV)のプラットフォームやBEVユニット共同開発を進めているスズキは、その第1弾となる「e VITARA」(e ヴィターラ)をイタリア・ミラノで初公開した。 【写真29枚】トヨタにもOEM供給される、スズキの世界戦略EVの第1弾となるBセグメントSUVのEV、「e ヴィターラ」の詳細画像をチェック ◆コンセプト・カーのeVXがベース e ヴィターラは、2023年1月にインドで開催されたオートエキスポ、ジャパン・モビリティ・ショー 2023で公開されたコンセプト・カーの「eVX」がベースで、スズキの世界戦略EVの第1弾モデルとなる。 ◆EVの先進性とSUVの力強さを表現 デザインは、「High-Tech & Adventure」(ハイテク & アドバンス)をテーマに掲げ、EVの先進性とSUVの力強さが表現された。エクステリアは、225/55 R18または225/50 R19の大径タイヤと2700mmのロングホイールベースが目を惹く。 ボディ・サイズは、全長×全幅×全高=4275×1800×1635mmで、先日日本で発売されたフロンクスよりもひと回り大きく、欧州のBセグメントSUVと同程度で、コンパクト・クラスに強みを持つスズキらしい小柄なサイズになっている。最小回転半径は5.2mで、最低地上高は180mmを確保する。 インテリアには、先進装備のインテグレーテッドディスプレイやタフな印象のパネルやセンターコンソールが用意され、デザイン・テーマが具現化されている。 ◆BEV専用プラットフォーム プラットフォームは、BEV専用として新開発された「HEARTECT-e」(ハーテクト・イー)。軽量設計で、高電圧保護にも配慮。ショート・オーバーハングによる広いキャビンを実現している。メインフロアはフロア下のメンバーが廃止され、電池容量の最大化に寄与している。 搭載されるEVパワートレインは、モーターとインバーターが一体化された高効率な「eAxle」(イーアクスル)。コスト面で有利なリン酸鉄リチウムイオン・バッテリーは安心と安全も追求されている。EVの特徴である発進時からのスムーズな加速や、低速から高速までの追越し時のシャープな加速を実現している。 ◆2モーターの4WDも用意 駆動方式は、フロント・モーターの2WDのほか、前後に独立した2つの「eAxle」が配置された電動4WDモーターで駆動する「ALLGRIP-e」が用意される。パワフルな走りだけではなく、レスポンスに優れた緻密なコントロールも可能にする。片側のタイヤが浮くような路面でも空転輪にブレーキをかけ、反対側のタイヤに駆動トルクを配分するLSD機能を有することで、悪路からスムーズに脱出できる「Trail」(トレイル)モードも用意されている。 バッテリー容量は、49kWhと61kWhの2種類。49kWhは2WDのみとなる。モーターの最高出力と最大トルクは、49kWh版の2WDが144ps(106kW)/189Nm。61kWh版の2WDが174ps(128kW)/189Nm。前後2モーターの4WDは、フロントが174ps(128kW)、リアが65ps(48kW)で、システム総合出力は184ps(135kW)でトルクが300Nmとなっている。 e ヴィターラは2025年春からインドのスズキ・モーター・グジャラート社で生産を開始し、2025年夏頃から欧州やインド、そして日本など世界で順次販売がスタートする見込み。さらに、トヨタにOEM供給することも発表されている。 文=塚田勝弘 (ENGINE WEBオリジナル)
ENGINE編集部