見ず知らずの女性を襲った男は遺体を風呂場に運び…犯人のデジカメに残っていたあまりにおぞましい行為
■交通事故死の意味 ここであえて“見ず知らずの”としたのは、Yの周辺取材を重ねても、彼とMさんとの間に接点が見出せないからだ。そして靴が発見された側溝があるのは、夜になると薄暗く、車での待ち伏せが可能なバイパス脇の側道。そこと交差するMさんが利用する道は、街中から丘陵にある大学方面へ向かう際の、ショートカットのルートだった。つまり、大学の近くに住む学生が、多少暗くとも、街中から帰る際に利用する可能性のある道である。 ここで驚かされるのが、Yによる殺害の実行から遺体の解体に向かう決断が、短時間でなされたことである。しかも、解体の場面を画像に残すというのは、当初から撮影を目的としていたとすら考えられる行動だった。 死人に口なしであり、Yに犯行動機を尋ねることはかなわない。彼の死については、遺棄したMさんの遺体が早期に発見され、すぐに身元も明らかになったことから、自身に捜査の手が伸びるのを恐れたことによる、母親を道連れにした自殺とみられている。 ---------- 小野 一光(おの・いっこう) ノンフィクションライター 1966年生まれ。福岡県北九州市出身。雑誌編集者、雑誌記者を経てノンフィクションライターに。「戦場から風俗まで」をテーマに北九州監禁殺人事件、アフガニスタン内戦、東日本大震災などを取材し、週刊誌や月刊誌を中心に執筆。著作に『完全犯罪捜査マニュアル』『東京二重生活』『風俗ライター、戦場へ行く』などがある。 ----------
ノンフィクションライター 小野 一光