1万回転まで回る920馬力のエンジン ランボルギーニ・テメラリオ、上陸! デザイン・ディレクターが語る「新世代」の魅力とは?
国立競技場で開催された「ランボルギーニ・デイ・ジャパン」でお披露目された「テメラリオ」。来日したデザイン・ディレクターのミティア・ボルケルト氏に、新世代のスーパースポーツにこめた想いを聞いた。 【写真46枚】ランボルギーニの新世代モデル、テメラリオ 国立競技場で行われた発表会の様子はこちら ◆静止から時速100キロまで2.7秒 時は2024年11月29日、舞台は東京・霞ヶ丘町の国立競技場。「ランボルギーニ・デイ・ジャパン」が開催されたタイミングで、ランボルギーニの新型車「テメラリオ」が公開された。アジア・パシフィック地域では初のお披露目となる。 イタリアのアウトモビリ・ランボ ルギーニから、ステファン・ヴィンケルマンCEOをはじめ、デザイン・ディレクターのミティア・ボルケルト氏、プロダクトライン・ディレクターのパオロ・ラチェッティ氏らも訪日。壇上から、テメラリオにかける期待を語った。 8月日に米西海岸で開催された「モータースポーツ・ギャザリング」でデビューしたテメラリオ。その名は、1875年にマドリードにいた闘牛から採用したと説明され、イタリア語だと、猛々しい、という意味だとか。じっさいに920馬力のパワーをもち、エンジンは1万回転まで回り、静止から時速100キロまでを2.7秒で加速とされる。 レヴエルト、ウルスSEに続く、3台目の同社の新世代、ハイブリッドモデルでもある。 「テメラリオをもって、当社は、全モデルをハイブリッド化した最初のラグジュアリー・カーブランドとなりました」とはヴィンケルマンCEOの言葉だ。 デザインは誰がみてもランボルギーニ。それでいて新しい。 「私たちが意識しているのは、ランボルギーニのDNAです。強く傾斜したウインドウと、宇宙船のようなリアビュー。遠くからでもランボルギーニとわかることが大切です」 この日、インタビューに応じてくれたボルケルト氏は、テメラリオの要点を、上記のように語る。 「テメラリオは、とはいえ、従来とはちがう解釈のサーフェス・トリートメント(ボディ面の造型)を採用しています。全体としてはよりピュアでクリーンなシェイプです」 ランボルギーニであるからには、心を騒がせることがなにより重要。この考えは従来と変わっていない、とボルケルト氏。テメラリオでは、スポーツカー・デザインにおける新機軸がみてとれる。 「注目していただきたいのは、ドゥカティのような二輪車のデザインを活かした点です。エンジンヘッドが外から見えるようにしているし、リアからだと、タイヤが二輪車のようによく見えます。エンジンとタイヤという走りにとって重要な要素を強調したのです」 ランボルギーニは現在、ブランド・ エクステンションといって、上記ドゥカティをはじめ、シューズ、腕時計から、はてはボートや住宅にいたるまで、異業種とのコラボレーション事業を拡大中だ。デザインだったり、素材だったり、範囲は広い。とはいえ、かなめはクルマ。 テメラリオは各所に、歴代のランボルギーニ車のデザイン要素が見てとれ、そこもマニア心をくすぐる。いいデザインのためにはデザイナーが真っ先にブランドのファンになる必要があると説くボルケルト氏ならではのアプローチといえるだろう。 「私たちが手がけているデザインは、好き嫌いがわかれるもの。万人のためのデザインではありません。意識しているのは、ランボルギーニのファンが愛してくれるデザインを作りあげることです。ミウラ(1966年)やクンタッチ(1974年)を作っていたころは、スポーツカーの数はごく限られていました。いまはスーパースポーツといっても、数多く市場に存在します。そこで勝負していくために、独自性は大事です」 ヴィンケルマンCEOは、PHEVのテメラリオが、「ディレッツィオーネ・コル・タウリ」なる、電動化によって持続可能性を追求する同社の方針にのっとったプロダクトであり、このさき2020年代中にはバッテリー駆動のモデルを導入するという道筋に沿ったもの、とする。 「私は、エンジンだろうがモーターだろうが、ランボルギーニのデザインはパワープラントの種類に大きく影響されないと考えています。いまは、高めの位置に排気口をもってきていますが、そこにはパネルをはめるというアイディアがあります」 これまでに「テルツォ・ミッレニオ」(2017年)や「ランザドール」(2023年)といったピュアEVのスタディモデルを手がけてきたボルケルト氏だけに、ランボルギーニ・デザインの未来に対しても自信を見せる。ランボルギーニは永遠にランボルギーニ。それがこのブランドの独自性なのだ。 文=小川フミオ 写真=アウトモビリ・ランボルギーニ (ENGINE 2025年2・3月号)
ENGINE編集部
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