「タワマン反対の声を上げるのは“カスハラ”なのか⋯?」品川区で深まる対立 超人気エリアで起こる「住民 VS.行政」バトルの裏側
さらに商店街の中にタワマン数棟を新たに建設し、商店街を寸断する計画が進んでおり、実現すれば東京都で一番長い人気のアーケード街が寸断される。 行政からの補助金と都や区が決める都市計画がタワマン建設の推進力だ。累積で400億円規模の補助金も投入される予定となっている。 一方、品川区は戸越銀座など域外からも買い物客を集める数多くの地元商店街をPRし、商店街自慢のパンフレットを作成してきた。 武蔵小山商店街では行政の関心事が再開発事業にシフトし、この「カスハラ騒動」を生むことになったのだ。
「めざす会」では、2024年11月7日に区庁舎前などで街頭活動を行い、住民代表をカスハラと断定するような区の姿勢については、事前に区長に面談を求めた。 しかし区長側は面談には応じず、住民側に街頭PRのためのチラシ案の一部削除を申し入れるという対応があった。 削除要請があったのは、「区長がこのまま面談を拒否するのであれば私たちはやむを得ず、再開発の実態を全区民に周知するため、11月7日12時半より1時間、区役所前道路での街頭宣伝により区民に訴え、代表が区長室に伺わせていただきます。多用は承知の上ですが在室下されるよう申し入れ致します」という部分だったという。
■区議会で提案された「驚き」の内容 ちなみに、品川区議会では、件のカスハラ文書の作成とほぼ同時期に、ある騒動が起こっていた。 8月29日の区議会の議会運営委員会で、自民党の議員がある提案書を提出したというのだ。 その提案は「本会議の討論で政党や議員を批判するのは問題であるため、制限をかけるべきだ」という趣旨であり、さらに「本会議の討論は2分でいい」などとされたという。 さすがにこの提案は多くの区議の反対にあい、実を結ばなかった。
再開発の反対者を実質名指しするようなカスハラ文書と、この提案の狙いは、どこか重なる部分があるように思える。 こうした品川区をめぐるトラブルの根本要因は、都市開発部門の事実上の最高幹部が都庁から品川区庁舎に派遣されていることも大きいだろう。 また、品川区庁舎には東京都都税事務所や都建設局第二建設事務所が入居し、「ここは都庁の出先なのか?」と勘違いするほどだ。 「めざす会」の中でも最近発足したのが「品川浦周辺地区 再開発を再考し立ち退きから住民を守る会」だ。