「タワマン反対の声を上げるのは“カスハラ”なのか⋯?」品川区で深まる対立 超人気エリアで起こる「住民 VS.行政」バトルの裏側
ちなみに、9月には東五反田一丁目地区で、新たに「東五反田一丁目地区市街地再開発を心配する会」が正式発足した。 品川区の一部住民や一部の区議によるこの反対運動を、行政はどう受け止めるのだろうか。 以前の記事でも紹介したように、「歴史ある街並みや文化を残したい」住民側と「タワマン系住民を増やし、財政を豊かにしたい」行政側の思惑がある。 東京都は知事主導でカスタマーハラスメント(カスハラ)対策の条例を制定し、2025年4月に施行する予定だ。
品川区長の森澤恭子氏は、元大手デベロッパー社員で広報担当も務めていた。都議時代は小池百合子氏の都民ファーストの会派で当選した。 ■請願や陳情を「悪質クレーム」とする行政側 品川区では今夏、区庁内で「悪質クレーム等調査票(まとめ)」を作成しているが、筆者は流出したこの庁内資料を入手した。 問題なのは、品川区が区民による行政への意見を半ばカスハラ扱いしていることだ。 もちろん、常軌を逸するような悪質なクレームには対策すべきであるが、再開発エリアに対する情報公開請求、請願や陳情の提出について、品川区では「悪質なクレーム」としているのだ。
「悪質クレーム等調査票(まとめ)」において、再開発事業への請願や陳情については次のように記載されている。 「再開発事業への反対者であり、元区議会議員であることから、地域に反対の旨のビラを配布したり、区議会に多数の請願・陳情を多数提出していることから、対応業務が増大し、業務量が増加している。また、その内容に職員や再開発関係者の個人名が記載されていたり、事実と異なる内容や組合等を誹謗中傷する内容が含まれていたり、職員の処分を求める陳情の提出など、職員が安心して働くことを妨げている状況。」
上記を見ると、品川区は再開発事業への反対について「悪質クレーム」であると断定していることになるのではないか? ちなみに、上記に書かれた人物は佐藤弥二郎氏(元区議)だ。同氏は武蔵小山で相次ぐタワマン開発に数年前から一貫して反対してきた住民団体(「武蔵小山の再開発から住民と職場を守る会」)の代表であり、無記名でも同氏を指しているのは一目瞭然だ。 ■「愛される商店街」がタワマンで分断? 東京でも有数の長さ(800m)と賑わいを誇り、地元住民からも愛される武蔵小山商店街。すでに駅側の商店街入り口付近には、タワマン2棟がそびえ立つ。