Nothingに聞く、着せ替えスマホ「CMF Phone 1」の正体 4万円台やおサイフケータイなしの意図は?
CMF Phone 1はインドで爆発的な販売数を記録
―― CMF Phone 1はもともと海外で販売されていましたが、売れ行きはいかがでしょうか。 黒住氏 いいと思います。われわれにとって最も大きい市場はインドです。CMF Phone 1はインドで爆発的な販売数を記録しています。予想以上のフィードバックをユーザーさんからいただいている、という感覚があります。 ―― そうなんですね。なぜインドで売れているのでしょうか。 黒住氏 インドはテクノロジーに敏感な市場で、新しいものに対して感動が高い市場でもあります。われわれのコアメンバーがOnePlusの共同創業者で、OnePlusも過去にインドでかなり大きな成功を収めたという実績があり、それもうまく活用できたと思います。 インドはスマートフォンの領域だと、恐らく他の国と比べて最も成長率の高い国です。ネットワークの整備とかも含めて、他の先進国と比べると後発なので、スマートフォンの普及自体もまだ伸びしろがあります。一方で、インドの方々はテクノロジーだけでなく、デザイン、値段にも非常に敏感です。それが、われわれの狙っているところとうまくマッチしたと感じます。 ―― デザインの嗜好(しこう)性はインドと日本とで異なりますか。 黒住氏 インドと日本は物に対するこだわりが似ていますが、デザインの嗜好性や方向性は若干異なる部分かと。製品の色、ディスプレイの色の調整なども異なるので、その辺はいいバランスを取っています。
価格高騰が当たり前の中、低価格を実現できた理由 なぜおサイフケータイはないのか
―― 日本市場においてCMF Phone 1を低価格で提供した理由を教えてください。 黒住氏 そもそもそのわれわれのラインアップには、CMF Phone 1の1つ上に当たるPhone (2a)があります。そのロワーバージョン、つまり安いコンフィギュレーションのもので、価格が4万9800円です。今回、IIJが販売する低いバージョン(CMF Phone 1)は4万円を切る3万9800円です。IIJのモデルはイヤフォンとスマートフォンのセット販売ですから、価格帯としてはプライスバンド(※複数の商品をセットで販売し、個別で販売するよりも安くすること)と見ています。 そこからスタートでメモリが増えたら、4万4800円、5万4800円になって……というように、ステップアップしていきます。ただ、全ての面でトップ・オブ・ザ・トップのパフォーマンスを出そうとしているわけではなく、その価格帯において適切なパフォーマンスを出せるものを目指しています。 昨今は定価が10~15万円以上のスマートフォンが当たり前になってきています。しかも乗り換えをしなければ、なかなか割引を受けづらいという現状もあります。われわれは、ユーザーさんが出せるであろう価格帯が、4万円前後とか5万円前後とか6万円前後とかになってくる、とイメージしています。その中で適切なパフォーマンスになるようにしていきたいとも考えています。 製品を作るときに為替で価格が一気に変わることもありますが、われわれとしても日本は非常に重要な市場なので、手ごろ感みたいなものを考えたときにはこういうものだよ、というものを含めてインプットをかけていき、そこで今当たっているのが3万9800円のラインと、4万9800円のラインではないでしょうか。 ―― CMF Phone 1は海外よりも若干高いのでしょうか。 黒住氏 もちろん為替の影響は受けています。Phone (2a)ですとわれわれの製品としては初めておサイフケータイ(モバイルFeliCa)に対応しましたから、その部分はアディショナル(追加コスト)になっています。 あとは日本市場のネットワークとのインターオペラビリティテスト(キャリアネットワークと端末の相互接続性に関する試験)が負担になっていて、本来ならばもう少し価格を上げてもいいのかなと思いつつも、そこはわれわれがぐっと我慢しつつも、適正な価格で提供しています。 ―― CMF Phone 1で日本市場向けにカスタマイズした点はあるのでしょうか。 黒住氏 CMF Phone 1における日本市場向けのカスタマイズといえるのは、ネットワークの適合性をできる限り担保しているところです。ただ、NTTドコモやKDDIのメインバンドは対応できていないので、その辺はIIJとも話しています。 ―― なぜCMF Phone 1にはおサイフケータイがないのでしょうか。 IIJとの話が進む中、2台目として買う人が多いということが見えてきました。MVNOだからそうなりがちなのだと思います。2台(両方)でおサイフケータイを使う人はどれだけいるのだろうか? と考えると、CMF Phone 1がおサイフケータイに対応していないことはあまり問題ないのかなと思います。