にしおかすみこ「私が元気じゃないと誰も幸せにできない。まずは自分の幸せを、いちばんに」
認知症の母と酔っ払いの父、ダウン症のある姉と同居するにしおかすみこさん。「家族を絶賛見守り中」というにしおかさんの介護におけるポリシーとは?AERA 2024年12月2日号より。 【写真】「ふんわり優しい雰囲気のにしおかすみこさん」はコチラ * * * 記者は、まごうことなき団塊ジュニアである。年の近い友人たちとの話題は、少し前までは仕事や子育てが中心だったのに、いまや「介護」の話でもちきりだ。かくいう記者も、今年になって父が倒れ2度手術、母にも持病があり、その他にもあれこれあるわけで……。友人たちと介護の話になるたびに、将来を憂えて不安を募らせるばかり。常にため息とマイナス思考の日々を送っている。 ■前作は12刷の大ヒット 母・81歳、認知症&糖尿病、姉・48歳、ダウン症、父・82歳、酔っ払い(執筆当時)。タレントのにしおかすみこさん(50)が、そんな家族との七転八倒を描いたエッセイ『ポンコツ一家2年目』が発売された。前作の『ポンコツ一家』は、発売から1年半で12刷というベストセラー。2作目を、と待ち望む声も多く、満を持しての発売となった。発売記念のイベントでは、にしおかさんを前にして涙を流す読者もいたという。 「抱えてらっしゃる悩みや想いは皆それぞれですからね。エッセイを読んで、笑った、元気になったと言っていただけるのがいちばん嬉しいです」 たとえば、エッセイに登場する認知症のお母さん。にしおかさんは「ママ」と呼んでいるが、語りかけられる言葉はなんだかとてもあたたかい。その一方で、「ババア」という呼び方も遠慮なく出てくる。この振り幅よ。優しくできない時があっても当たり前、心が折れそうになっても当たり前、それすらもユーモアを交えながら包み隠さず描いていることが、読む人の心を動かすのだろう。 にしおか家の笑いは絶えることがない。たとえトラブルがあってもこの一家なら乗り越えていけるのではと思わされてしまう。もしかすると、にしおかさんは介護の極意を知っているのだろうか。ダウン症患者でもある心優しいお姉さんのそばで育ってきているので、何かポイントをご存じなのだろうか。こんな発想、素人考えかもしれないけれど、あれば教えてほしいと、にしおかさんに尋ねてみると、