にしおかすみこ「私が元気じゃないと誰も幸せにできない。まずは自分の幸せを、いちばんに」
「姉は姉という素晴らしい個性があります。ダウン症は症状です。それよりも中身の、姉がどういう人か、何を思っているかのほうが私は大事です。それと私は小さい頃から、姉の世話をすることはなかったです。母は、自分の人生なのだから自分の道を歩きなさいと育ててくれました。大人になり、みんな年を取って、いずれ何かしらはある、とは思っていましたけど。そのための準備なんてしてなかったです。だからですかね、私は現在、実家でジタバタしてます。でも、やれることしかやらないです。私の人生、自分を犠牲にはしません。母も望んでないはずです」 ■私が元気じゃないと 一人では抱え込まない。これは介護におけるにしおかさんのポリシーだ。親切なご近所さん、お母さんがお世話になっているかかりつけの病院の先生や看護師さん、お姉さんが通っている作業所の職員さんなどたくさんの方にお世話になっているという。 「私も家族を絶賛見守り中で、迷うことだらけです。でも、エッセイでも書きましたが、息抜きに1泊2日の旅行という名の家出をしました。自分にいちばん甘く、です。私が元気じゃないと誰も幸せにできない。まずは自分の幸せを、いちばんに考えます」 あくまでも自分ファーストでという、にしおかさんの言葉がズシンと響く。介護で自分の生活いっぱいいっぱいだよ! そんなあなたに、にしおかさんのこのメッセージが届きますように。(編集部・三島恵美子) ※AERA 2024年12月2日号
三島恵美子