国内で唯一無二『筆を使わない墨絵アーティスト』 指先で蘇らせる伝統…個展で作品が完売するほど話題に
伝統文化を自分の手で復活させたい
しかし、やがて勢いを失い、衰退していった。この現状を打破しようと使命感に燃え、このジャンルを受け継いだのが荒川さんだ。ほぼ道なき道だったが、独学で10年以上もトライアンドエラーを繰り返しながらいまに至る。 「水墨画は白黒の世界でそのためか、学校の授業でもやってません。若い世代に墨のアートを知ってもらいたい。墨でこれだけ表現できるんだ、というのを次世代に伝えたい。その思いでここまで来ました。墨絵を生き返らせるのは自分しかいない、という思い。あと、日本のアートは閉鎖的で出る杭は打たれる世界なので、そこも変えていきたい」 主な代表作は「龍神ティアマト」「朱雀乱舞」「桃源の馬」「流鏑馬~Yabusame~」など。大胆さと繊細さを兼ねた独特なタッチは見た瞬間に「躍動感」「力強さ」「迫力」が伝わってくる。特に平和をテーマにした「朱雀乱舞」の複製画は2022年6月にスペインにある世界遺産サンパウ病院で常設展示され、国連ユネスコのパリ本部ミロホールでも展示された。 また2023年5月にはモンゴルに国賓として招待を受け、日本人墨絵アーティスト代表として「モンゴル芸術親善大使」に任命された。さらにイタリアのローマにあるクロチェッティ美術館にも荒川作品が展示されることも決まった。 これを受け、当然のように国内での評価も高まり、2023年7月に開催された地元栃木市での「常識を逸脱したイベント型アート個展」では2日間で40作品が完売。その後、大阪、東京でも評判となった。もちろん、今年に入っても精力的に活動しており、6月には京都市中京区の「京都創造ガレージ」で個展を開催。7月にも栃木市の蔵の街スタジオで個展「飛龍」を開き、知る人ぞ知る存在として人気を博している。 様々なジャンルとのコラボにも力を入れており、9月28日には「高野山世界遺産登録20周年記念」イベントに出演。和歌山出身のサクソフォーン奏者のNazuki’さんが奉納演奏することになっており、 そのゲストとして津軽三味線「吉田兄弟」の吉田健一さんとともに招かれ、墨絵パフォーマンスを実演することも決まっている。 「テーマは世界平和。地震で苦しんだ能登や台湾のチャリティも兼ねています。世界遺産という素晴らしい場所でのイベント。ぜひ、応援してください」 そんな荒川さんのもとには企業からロゴ製作の依頼も増え、最近はメディアへの露出も多くなっている。その一方で墨絵教室なども精力的に開催するなど地道な活動も続けている。雅号の「颼」は自由な風が吹く様子を表す。その名の通り、今後ますます注目されそうな墨絵アーティストだ。
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