なぜU-24代表は強豪アルゼンチンにリベンジを果たせたのか?
まさかのグループリーグ敗退を喫した昨年1月のAFC・U-23アジア選手権に出場するも、U-23カタール代表との最終戦で一発退場。出場停止処分が持ち越される形で今回の3月シリーズへ適用され、第1戦のベンチから外れていた田中も、期する思いとともにキックオフを迎えている。 「2試合が行われるなかで、僕自身は1試合しか出られない状況で呼んでもらっている。今日の試合のために準備してきたし、僕自身は数字を残せなかったけれども、チームの勝利が自分のアピールになることを考えれば、最低限の結果を少なからずもたらすことができたと思っています」 記録的な独走でJ1リーグを制した川崎で、田中はアンカーとして昨シーズンをスタートさせ、今回のフル代表に選出されている守田英正(現サンタ・クララ)が台頭した後は、インサイドハーフとして新境地を開拓した。群を抜く運動量で攻守両面に絡み続けるストロングポイントで、22歳にしてベストイレブンに選出されるまでに成長を遂げた過程で、プレー中に抱く感覚が変わってきたと笑う。 「最近は上から見ているような感覚じゃないけど、どうすればハマるのかが、頭のなかである程度計算できるというか、イメージできるようになってきたので。それをいろいろな選手に伝えることで自分自身もプレーしやすくなるし、チーム全体としてもいい方向に行くと思っているので」 川崎で積み重ねてきた濃密な経験が、ピッチ全体を俯瞰的に見渡せる感覚をも養わせた。攻守両面で味方を素早く、的確に動かす田中の声がピッチから何度も響いてきた。コンビを組んだ板倉も「試合中にたくさん怒られました。もっとやってくれ、と」と思わず苦笑いしたほどだ。 そして、心臓部を担う板倉と田中から発信され続けた闘う姿勢が、1トップの林大地(サガン鳥栖)、左から相馬勇紀(名古屋グランパス)、久保、食野亮太郎(リオ・アヴェ)で組んだ2列目、右から原輝綺(清水エスパルス)、瀬古歩夢(セレッソ大阪)、町田浩樹(鹿島アントラーズ)、古賀太陽(柏レイソル)で組んだ最終ライン、そしてキーパー谷晃生(湘南ベルマーレ)に伝播していった。