再びトランプ政権へ ウクライナでの戦争は?台湾情勢どうなる 警戒強める各国
3)トランプ氏との“信頼関係”構築には… 石破総理が直面する課題
トランプ氏の勝利後、世界各国の首脳が続々と電話会談を行っている。石破総理も日本時間の7日、トランプ氏と5分間、電話会談を行った。 峯村健司氏(キヤノングローバル戦略研究所主任研究員)は、トランプ氏とのコミュニケーションについて、以下の通り指摘する。 2016年の大統領選直後、安倍氏が誰よりも早くトランプタワーに行ってトランプ氏と面会したのは大きかった。その際同席していたトランプ政権の幹部によると、トランプ氏は安倍氏から外交面で色々とアドバイスをもらって感謝していたそうだ。そして、安倍氏の退室後、隣にいた娘のイヴァンカ氏が「パパ、安倍さんのことは信用したほうがいいよ」と言ったことがきっかけになり、トランプ氏が安倍氏に全幅の信頼を置くようになり、蜜月が始まったのだと。 さらに、生前の安倍氏から聞いたのだが、トランプ氏は長い時間、話を聞かない。3分ぐらいすると飽きてきて、5分ぐらいするとテレビを見ていると。そのため、できる限り、飽きさせずに話をする工夫、例えば、図表がいっぱいある説明資料を作るなど努力をしたそうだ。さらに、重要だったのがゴルフでのコミュニケーション。ゴルフは3~4時間もカートに一緒に乗るので、その席であれば、在日米軍の駐留経費など難解な話も長い時間をかけてできるから、と。そういうところでコミュニケーションを保ってきたことが功を奏したと言っていた。このあたりは石破総理にも参考になるのではないか。 杉田弘毅氏(元共同通信論説委員長)は、良好な日米関係を保つには、日本の政権基盤の安定化が欠かせないと指摘する。 トップ同士でディールすればその国が間違いなく動くような、強いリーダーをトランプ氏は好む。だからこそ習近平氏を尊敬していると言い、プーチン氏を好きだと言い、北朝鮮の金正恩氏と3回も首脳会談をやっている。日本で過去アメリカと良好な関係を築いた首相も、中曽根氏や小泉氏、安倍氏と、政権基盤がしっかりしていて、在任期間が長期に及んでいた。トランプ氏にとっては「弱い人」と付き合っても、意味がない。トップ外交で合意しても政権基盤の弱さから結局遂行できない。石破氏が政権基盤を固めない限り、アメリカ、特にトランプ氏は残念ながら石破氏を相手にしないだろう。 <解説者> 峯村健司(キヤノングローバル戦略研究所主任研究員。近著に『台湾有事と日本の危機』。『中国「軍事強国」への夢』も監訳。中国の安全保障政策に関する報道でボーン上田記念国際記者賞受賞) 杉田弘毅(ジャーナリスト。21年度「日本記者クラブ賞」。明治大学で特任教授。共同通信でワシントン支局長、論説委員長などを歴任) (「BS朝日 日曜スクープ」2024年11月10日放送分より)
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