ランウエイがますます化粧品の発表の場に 高い費用対効果を生むか?
また「ヴィクトリア ベッカム ビューティ(VICTORIA BECKHAM BEAUTY)」は、パリ近郊のシャトー・ド・バガテルで開催した25年春夏コレクションで、4番目となるフレグランス新商品“レヴァリィ21:50”を発表。会場ではタッチポイントを随所にちりばめ、キャンペーンムービーを流し、シャンパンカクテルや観客用のブランケットにも香りを忍ばせた。カティア・ボーシャン(Katia Beauchamp)最高経営責任者(CEO)は、「われわれは商品を派手に発表する手法を避けた。多くの人が集まるこの場を利用してゆっくりと商品を体験してもらい、それぞれの瞬間で人々の記憶に残るべきだと考えた。なぜならフレグランスは個人的な物語や思い出と強く結びついているからだ」という。
予算縮小の中での効果的なアプローチ
ラグジュアリーブランドが予算を削っている今、ファッションショーとフレグランスの発表会を組み合わせることはマーケティング費用を節約できるだけでなく、最も手頃な商品に同時にスポットライトを当てることができる手法だ。ラグジュアリーコンサルタントのエリック・ブリオネス(Eric Briones)氏によれば、「ハイパーインフレが続く中、ブランドはどこも危機的状況だ。これまで以上に富裕層とZ世代をターゲットにしている」とし、そのような環境においてランウエイは、「グローバルなプラットフォームであり、単に話題性を高めるだけでなく、ビューティ商品を最大限に利用できる場所」だと指摘する。
データ調査およびインサイト会社の米ローンチメトリックス(LAUNCHMETRICS)が収集したデータによると、“ヴィーナス”のメディア・インパクト・バリュー(MIV)は89万4000ドル(約1億3600万円)で、ショー全体のMIVの27%に相当するという。これは主にハッシュタグ「#VénusDeNinaRicci」を使用したゲストによるもので、同ハッシュタグの投稿はショー全体のMIVの19%を占めた。これに対し、「バルマン」の“レ・エテルネル・ドゥ・バルマン”のMIVは84万1000ドル(約1200万円)でショー全体のMIVの5%、「ヴィクトリア ベッカム ビューティ」の“レヴァリィ21:50”のMIVは32万5000ドル(約4900万円)でショー全体のMIVの6%を示した。総合的なアプローチをとることで効果が数字にも表れているようだ。