ランウエイがますます化粧品の発表の場に 高い費用対効果を生むか?
ラグジュアリーコンサルタント会社MADのデルフィーヌ・ヴィトリー(Delphine Vitry)共同創業者兼CEOは、「ランウエイをビューティ商品発表の場として活用するブランドの中には、まだ規模が小さく財政状態が良好でないブランドもある。ファッションとビューティを組み合わせることは費用対効果も高く、ビューティカテゴリーに進出する正当性を高めている」と述べる。
歴史的にも行われてきた手法
さかのぼってみれば、ファッションショーを利用してフレグランスやコスメを発表することは決して新しいことではない。例えば、「ヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)」の05年春夏コレクションは、メゾンを代表するフレグランス“フラワーボム”をテーマにしたランウエイで話題をさらった。また、「ジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)」の22年秋冬オートクチュールコレクションでは、ゲストデザイナーとして迎えられた「バルマン」のルスタン=クリエイティブ・ディレクターが、名作フレグランスの“ルマール”をほうふつとさせるトルソー型とブリキ缶を掛け合わせたルックを披露。さらに、「セリーヌ(CELINE)」のエディ・スリマン(Hedi Slimane)元アーティスティック・クリエイティブ&イメージディレクターも、24年秋冬コレクションの映像内でブランド初のリップスティックの発売をさりげなく紹介した。
パリのガリエラ美術館のアレクサンドル・サムソン(Alexandre Samson)=キュレーター兼ファッション史研究家は、「ファッションデザイナーのポール・ポワレ(Paul Poiret)が1911年に自身の香水を発売して以来、ファッションハウスは自社フレグランスを売り込んでおり、ファッションショーは歴史的にこうした付随商品のショーケースとなってきた」と振り返る。同氏は今回パリのファッションウイークで行われた一連の発表について深読みせず、「歴史を見ても常にそうだった。これはビューティ市場が急成長を遂げたことによって可能になった戦略。最近のトレンドであり、ファッションがそれを利用することは理にかなっている」と語る。