子どもを「水難事故」から守る! 救急医が語る水難事故の重症化を防ぐ方法とは
川や海での楽しい時間が、一転して命の危機に直面することもあります。水難事故は、子どもの死因でも非常に多くを占め、その背景には事前の準備不足や無防備な行動が潜んでいることも多いのです。水難事故を防ぎ、重症化を防ぐためにはどのような対応が必要なのでしょうか。今回は、水難事故の原因や防止策、重症化を防ぐ方法、緊急時の対応に至るまで、国際医療福祉大学救急医学講座教授の志賀隆先生に詳しく解説していただきました。 【イラスト解説】水難事故に遭いやすい人の特徴 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
水難事故について知る
編集部: はじめに、水難事故はどのような場所で起こるのか教えてください。 志賀先生: 川や海で多く発生し、そのような場所に慣れていない方が巻き込まれやすいですね。例年、水難事故で最も多いのが「魚釣り中の事故」で、全体の約40~50%に及びます。時季では夏場に多く発生しており、台風などの悪天候への注意が必要です。海の場合は、カレント(潮の流れ)に逆らい海岸に向かって動くことはとても危険で、カレントに対して横に動くと自然に海岸に戻れます。 編集部: 水難事故は子どもに多いのでしょうか? 志賀先生: 子どもの水難事故は子どもの死亡原因の中でも多いものです。溺水は、世界中の小児および若年者における死因の上位10位以内に入っています。特に子どもが海や川で遊ぶ場合には、ライフジャケットの使用を強くお勧めします。私も子どもの頃、川で溺れそうになったことがありますが、水辺での活動は大人が必ず付き添うこと、大人であっても一人は危険であることも改めてお伝えしたいですね。警察庁の統計によると、令和5年夏期(7~8月)における水難事故は、水難者568人(前年対比70人減)、うち死者・行方不明者236人(前年対比8人増)。このうち、中学生以下の事故発生件数49件(前年対比1件減)、水難者106人(前年対比14人減)、うち死者・行方不明者16人(前年対比7人増)であったとのことです。 編集部: どのような活動をしている人が水難事故に遭いやすいのでしょうか? 志賀先生: 川や海で環境に慣れていない方が活動すると事故が起こりやすいですね。具体的には、魚釣りやマリンレジャー、船舶関連、水泳の順に割合が高くなっています。特に、お酒を飲んでの活動は避けるべきです。また、飛び込みもケガ(特に骨折や脊髄損傷)の原因になるため避けましょう。