東日本大震災のボランティア志願者へのメッセージ(フィールドライフ2011年春号掲載)
2位・自己陶酔しにくるヤツ
神戸にいたとき、被災地の避難所まわりで一番キツイ仕事は便所ボランティアだった。長田区の場合は電気の復旧はかなり早かったものの、水道の復旧には相当な日数がかかった。この間、水洗トイレが使えないので、被災者の方には便器は使わず、個室で新聞紙を広げその上に用を足して貰うようにした。この事後処理が本当にタイヘンなのだ。 ボランティア希望者はたいてい「なんでもします! 」と言う。そのくせ便所ボランティアをお願いすると「いやあ、それはちょっと……」とか言って逃げてしまうヤツがじつに多いのだ。 こういった“自称ボランティア君”はたいてい自分のイメージしたカッコいいボランティア像(……たとえば家の修理とか、物資配給とか、被災者の話し相手とか)を持っていて、それを実現しにやってくる。被災者のためではなく、自己陶酔とか自己実現のためにくるのである。だからウンコにまみれたり、腐敗ゴミを仕分けたり、汚くてスポットライトのあたらない仕事をお願いすると極端に嫌がるのだ。 まあ、せっかくボランティアに来たんだから現地でいい思い出を作ったり、感動的な体験をして帰って欲しいと僕も思っている。でもやっぱり僕らが被災地で第一義に考えるべきは「被災者のため」だ。 自己陶酔や自己実現は別の機会に回そうぜ。
3位・勝手に倒れるヤツ
これは自分への戒めとして書く。じつは僕は神戸滞在中に何日間かぶっ倒れて寝込んでしまった。過労がたたって、風邪をひいてしまったのだ。これは完全に自分のミスだ。頑張りすぎてぶっ倒れた。 ボランティアが病気になると、被災地に大きな負担がかかる。病人を寒いテントや廊下に寝せておくこともできないから、看病のための暖かい場所や寝具が必要になる。ただでさえ混んでいる病院をよけい混雑させてしまう。また貴重な薬や医療品を消費する。そしてボランティアの看病のために(医師や看護師さんなどの)ボランティアが必要になる。本来はすべて被災者のために用意したモノなのに……。ホントにろくなもんじゃないのである。 だから健康管理にはじゅうぶん気をつけよう。体力のギリギリまでがんばるなんてもってのほか。被災地で勝手に倒れてはいけない。家に帰ってから寝込むべし。