これで520万円は安すぎる! 話題のランドクルーザー250で道なき道を試乗 思わず欲しくなった!!
正直ローレンジで森の中を走っただけで欲しくなってしまった!
2023年8月に世界初公開されたランドクルーザー250に乗れる日がやってきた。プラドの後継車で、「70」と「300」の間を埋める第三のランドクルーザーは、得意とする過酷を極める悪路でどのような走りをみせてくれたか。モータージャーナリストの高平高輝がリポートする。 【写真63枚】話題のランドクルーザー250の悪路性能を写真でチェック 内外装の詳細画像を見る! ◆やはりランクルは間違いなし! 何かと話題のランドクルーザー250にようやく試乗することができた。といっても、豊田市の「さなげアドベンチャーフィールド」のオフロードコースのみだが、深く轍が掘れた森の中の急坂から大きな岩だらけのセクションまで、先代モデルに当たるプラドや復活した新型70などと直接比較しながらの試乗は貴重な体験だった。一日中ローレンジで這いまわった結果、やはりランクルは間違いないとしみじみ感じ入った。 1951年のトヨタBJ型ジープを起源とするランドクルーザーは、70年以上にわたって作り続けられてきたトヨタの代表車種である。途中で豪華な旗艦ワゴン(現在の300シリーズ)とヘビー・デューティな70シリーズに枝分かれし、さらに85年に別建てとなった70系ワゴンから進化して90年に名称変更されたのがライト・デューティと位置づけられるランドクルーザー・プラド・シリーズだ。250はこのプラドの後継に当たるが、原点回帰をキーワードにランドクルーザー3車種の立ち位置を明確にすべく開発したという。ランドクルーザー一族はこれまでに世界170か国に導入され、累計台数は1151万台を超えるという。世界中でトヨタの評判を築き上げたのは間違いなくランクルである。 250に用意されるパワートレインは2.8リッター直4ディーゼル・ターボ(8段AT)と2.7リッター直4ガソリン(6段AT)の2種類、グレードは前者がZX、VX、GX(これのみ5人乗りでほかは7人乗り)、後者はVXのみだが、オフロードコースで試乗できた250はディーゼル・ターボのZXと同じくZXのファーストエディションのみ。このファーストエディションは丸目グリルをはじめとした特別装備を持つ限定車だが(ディーゼルのZX&VX、ガソリンVXを合わせて限定8000台)、ちょっとレトロな丸目ライトはVXにオプション設定されている。 ◆クルマが勝手に登っていく 250のメカニズムは兄貴分の300に準じている。300で新開発されたフレーム構造プラットフォーム(GA-F)を改良して採用、センターディファレンシャルにトルセン式LSD(電磁式ロック機構付き)を備えたフルタイム4WDシステムも300同様。また先代の150系プラドに対して一気に大型化されたボディの寸法は、実は300と比べると全長が70mmほど短いことを除けばあまり変わらない。ホイールベースは黄金律として維持されてきた2850mmで300と同一である。では何が違うかといえば、同じディーゼルのZXグレード(300は3.3リッターV6ディーゼル・ターボ)で比べると200kg近く軽い車重と電動パワーステアリング、そしてホイールアーティキュレーション(300の方がホイールストロークが長い)ということになる。 オフロードコースではすべてローレンジ+センターデフロックの状態で走ることを指示されたが、これだとサンドや岩場など路面状態に応じて選択できる走行モード切り替え装置のMTS(マルチテレインセレクト)に触ることも、リアデフのロックスイッチを押す必要もなく、ただステアリングを握って正しいルートを維持していれば、クルマが勝手に危なげなく登って行ってくれる。204ps/500Nmを生み出すディーゼル・ターボは特に微速での扱いやすさが印象的で、また電動パワステは普通ならキックバックを覚悟するような岩を乗り越えた際も何事も起きずにむしろ戸惑ったほど。これで520万円(GX)からという価格は、今時ちょっと安すぎるのではないか。一般道での快適性など見定めなければならない点はあるが、正直ローレンジで森の中を走っただけで欲しくなってしまったのである。 ■トヨタ・ランドクルーザー250VXガソリン(ZX) 駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動 全長×全幅×全高 4925×1980×1925(1935)mm ホイールベース 2850mm トレッド 前/後 1665/1665mm 車両重量 2240(2410)kg エンジン形式 直列4気筒DOHC16Vガソリン(ディーゼル・ターボ) 総排気量 2693(2754)cc ボア×ストローク 95.0×95.0(92.0×103.6)mm 最高出力 163ps/5200rpm(204ps/3000-3400rpm) 最大トルク 246Nm/3900rpm(500Nm/1600-2800rpm) 変速機 6段AT(8段AT)×副変速機2段 サスペンション形式 前/後 ダブルウィッシュボーン/トレーリングアーム車軸式 ブレーキ 前後 通気冷却式スチール・ディスク タイヤ 前後 265/65R18(265/60R20) 車両価格(税込) 545(735)万円 文=高平高輝 写真=トヨタ、編集部 (ENGINE2024年7月号)
ENGINE編集部