矢部太郎「世界中の歯ブラシ1000本以上を集めて。世界と比べると日本ならではの特徴が…。お国柄を感じるのがコレクションの醍醐味」
<矢部太郎さん選・ユニーク歯ブラシ BEST 5> 1.木の枝の歯ブラシ枝の先の皮をナイフで削ると、中の白い部分が細い繊維状になり、それで歯を磨きます。繊維はやわらかくて気持ちがいいのですが、歯の間に挟まって困ることも(笑)。アフリカなどで入手しました。 ◆お国柄を感じるのがコレクションの醍醐味 これだけ揃ったコレクションを眺めていると、お国柄を感じますね。日本の歯ブラシは、ストイックなデザインのものが主流ですが、機能性重視で使いやすいなと思います。 北欧だとシンプルだけど色がすごくキレイだとか、韓国製は色の主張が強いとか、プラスアルファがあるのでつい買ってしまう。 ブラシの部分が3つに分かれていて1本の歯を囲むようになっていたり、レディー・ガガの曲が流れたり、裏がラバーになっていて舌磨きができるようになっていたり、ギミック(細工)が凝っている歯ブラシも好きです。 本体のデザインだけでなく、ブラシのヘッドの部分も、国によって違いがあるんですよ。 たとえば、日本のものはヘッドが小さめですが、これは日本人の口が小さいからだと思います。反対にアメリカやヨーロッパのヘッドはとても大きい。 そして、アフリカや中東やインドなどで売っている「木の枝の歯ブラシ」は、枝の先端をナイフで削って使うのですが、歯ブラシの元祖という感じでお気に入りです。
<矢部太郎さん選・ユニーク歯ブラシ BEST 5> 2 レディー・ガガボタンを押すと、朝用と夜用で2曲流れます。 この遊び心は、ザ・アメリカという感じがしますね。 歯ブラシを眺めていると、「自分が知っている日常は、誰かの日常ではない」と思い知らされると言いますか、「この国の人たちにはこれが合っているんだな」「いろいろな《普通》が存在するんだ」などと気づくことも、コレクションの醍醐味です。 旅先の一期一会で手に入れるほかに、アンティークショップや骨董市、ネット通販で買うことも。昭和レトロなデザインや懐かしいアニメキャラクター入りの歯ブラシなど、気に入ったものを買うので、いまもコレクションは増えています。 ただ、この歯ブラシ愛には《弊害》もあって。以前、家に芸人の友達が遊びに来たとき、洗面所の棚に使いかけの歯ブラシがたくさん並んでいたため、僕のことをものすごいプレイボーイだと思ったそうなんです。 それは全部、僕が使っているもので、泊まりに来た女性のものではなくて(笑)。あのときは「複数の歯ブラシがあるだけで、そんな誤解をされるんだなあ」と笑ってしまいました。 (構成=上田恵子、撮影=本社・武田裕介)
矢部太郎