1955年の見た目+BMWの4発ターボ モーガン・プラスフォーに試乗 届かない部分も魅力の1つ
一体感の高い操縦性 飛ばさなくても躍動的
4気筒エンジンは、アップデート前から変更なし。若干のブーストラグはあるが、軽快に吹け上がり、中域トルクが太く粘り強い。 パワーウエイトレシオは、238ps/t。0-100km/h加速は5.1秒で、路面と近く開放的なキャビンだから、スピード感は通常の倍。パワフルすぎると感じる人もいそうだ。2016年に計測した、718ケイマン Sに迫る鋭さがある。 クラッチペダルの感触に優れ、乗員がリアアクスル側に座るため、加速時のトラクションは得やすい。シフトレバーは、適度な重さで素早く動かせる。他方、6速MTの長めのギア比と相まって、変速の必要性は低い。もう少しショートでも良さそうだ。 エンジンサウンドは、聴き応えのあるシャープなもの。高負荷時のシューッという響きが気持ちいい。ABS付きのブレーキは強力。フルブレーキの計測では、110km/hから49.5mで止まれた。 操縦性は期待通り、ドライバーとの一体感が高いもの。ステアリングは予想より軽く、レシオがスロー気味でも一貫性は高い。ドライブモードをS+にすると、切り始めの感触が大きく改善する。 飛ばさなくても、ドライバーを刺激するように、プラスフォーは躍動的。サスペンションは柔らかく、加減速時のピッチングは大きめ。ボディロールは抑えられつつ、リアアクスルに荷重を載せやすい。 反面、フロントアクスルの荷重は抜けやすい。速度を保ってコーナリングするには、少しコツが求められる。扁平率60のタイヤは、高精度な操縦性に貢献するわけではなく、横方向のグリップ力も高くはない。
現実的な速度域での充足感 新パッケージ登場
プラスフォーを素早く走らせるには、ドライバーの気遣いが不可欠。郊外の公道では、荷重移動とサスペンションの動きを読みながら、ラインを修正していく必要がある。高速道路では、普段以上の集中力も必要になる。 高速コーナーは、難しくもありエキサイティング。荷重移動を意識し、フロントノーズが外側へ流れる挙動を感じ取り、正確に操縦することで運転の楽しさは大幅に増す。ステアリングの反応は漸進的だから、リカバリーも難しくない。 荒れた路面では、ボディの垂直方向の動きは目立つ。シャシー構造や動的な安定性には、若干の不完全さがある。それでも、現実的な速度域での充足感は際立って深い。 2024年仕様から新設定されたのが、ダイナミックハンドリング・パッケージ。1995ポンド(約38万円)が必要だが、ナイトロン社製ダンパーと別注のスプリング、アンチロールバーが組まれる。 動的な特性に幅が生まれ、攻め込んだ領域では敏捷性も驚くほど高まる。フロントタイヤが粘り強く路面を掴み、予想しやすく、高速コーナーでのフラットさも改善する。 ただし、少し硬すぎるかもしれない。速度抑止用のスピードバンプではシャシーがきしみ、舗装の剥がれた穴では強い衝撃が伝わる。舗装したての路面でない限り、低速走行は避けたくなるほど。