低出生体重児のモデルマウス作製、世代を超えた疾患リスク解明 東北大など
その結果、タダラフィル投与群では通常群と変わらない体重で生まれることが分かった。また、生後1週目の糸球体の数も通常群と変わらない発達を示し、血圧上昇もやや抑制できていた。佐藤准教授は「タダラフィルは胎児移行性も低く、安全に母体に投与できる薬。既に低出生体重で生まれている子どもへの治療薬にもなり得るのではないか」と話した。
低出生体重児は国内では9.5%前後いるとされ、10人に1人を占める。これは経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最も高い割合だ。原因は早産、若年・高齢出産、痩せ、喫煙といった母体の要因や、多胎児、染色体異常といった児の要因で生じる。低出生体重児は、出生直後は呼吸器や循環器の疾患を抱えたり、知的発達遅延を起こしたりするリスクがある。将来的には慢性腎臓病や高血圧、肥満のリスクを抱える。
そのため、佐藤准教授は「低出生体重のリスクを多くの人に知ってもらうことが必要だ。今後は、低体重で生まれてきた子どもが母親になる際にもマウスと同じように治療薬が役に立つのか、役に立つとすればどのような薬が有効なのか調べたい」とした。
研究は日本学術振興会の科学研究費助成事業、川野小児医学奨学財団などの支援を受けて、東北大学と東北医科薬科大学が共同で行った。成果は10月11日の米科学誌「アイ サイエンス」に掲載され、同21日に発表した。