名店のパティシエが教える。モデル・松川星さんが学ぶ正しいフランス菓子 vol.3|「トロペジェンヌ」
日本でも流行しそうな “高級クリームパン”
島田シェフが“高級クリームパン”とも呼ぶトロペジェンヌ。日本でこれから流行するかもしれない、その魅力と可能性を話します。島田シェフ 「日本人はクリームパンに親しみがあるので、トロペジェンヌも人気を得やすいスイーツだと思います。一般的なパン屋さんが使う配合より卵とバターをよりふんだんに使ったパティシエのブリオッシュ生地はパンのなかでも最高峰といえるでしょう。 カスタードクリームもリッチなミルク、卵、バニラなど厳選された良質な材料で作られているのでそれはまさに“高級クリームパン”のような位置づけで愛されていくのではないでしょうか。『タルト・トロペジェンヌ』というとクッキー生地のような固いスイーツを連想しますが、実際は柔らかいパンのようなお菓子で、以前流行した『マリトッツオ』*3とも共通点がありますしね。フランスで一般的なカスタードにバタークリームを加えたクリームよりも、日本だとカスタードメインで生クリームとあわせたふわっとしたクリームにすることで、一層好まれると思います。広島の八天堂のクリームパンが、まさにそんな感じですね。現在、トロペジェンヌを作っている店はうちの店やバター専門ショップなど日本ではまだ少ないですが、クリームはカスタードベースのまま、あわせる乳製品を日本向けにアレンジしつつ、今川焼みたいにピスタチオ風味やチョコクリームにするなど、バリエーションは多くの可能性を秘めています。ブリオッシュ生地はパティシエにとっても重要な素材であり、湿度が高い日本では発酵の調整などに技術や工夫が必要ですが、これから流行・定番化するスイーツかもしれません」*3)マリトッツオ:丸いブリオッシュ生地のパンに切り込みを入れ、生クリームを挟んだスイーツ
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次回のフランス菓子は、円形のパイ生地を、カラメルを塗ったミニシューとたっぷりのクリームで飾った『サントノーレ』。フランスで愛されるカリカリ食感を堪能できる、現地の味の文化もつまったスイーツの世界に迫ります。(衣装協力) ワンピース¥6,490 tocco closet(@toccocloset) 教えてくれた人パティシエ・シマ 島田徹シェフ日本で最初のフランス菓子専門店「A.ルコント」でフランス菓子の基礎を学ぶ。渡仏し「ピエール・エルメ」、「ホテル・ル・ブリストル」を経て5年の滞在後帰国し、東京麹町「パティシエ・シマ」オーナーシェフに就任。フランス菓子・食文化に精通し、世界最古のシェフの会・フランス料理アカデミーに若くして入会を認められ会員となる。また公益社団法人東京都洋菓子協会技術指導委員、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートとしても活躍 About Shop パティシエ・シマ(PATISSIER SHIMA) 東京都千代田区麹町3-12-4 麹町KYビル1F 営業時間:平日 11:00~19:00、土曜日 11:00~17:00 定休日:日・祝 Instagram:@patissiershimaPhoto/Masahiro Noguchi(野口マサヒロ) hair&make/Nakashima Aki(中島愛貴)
ウフ。編集部 磯部美月