パイナップルから生み出す究極の循環型社会とは? フードリボン社長 宇田悦子さんに聞く
世界の天然繊維の5%を未利用資源に
――フードリボンの今後の展望は。 「当社のスローガンは『捨てるものがない明日へ』です。2030年までに世界の天然繊維の5%を未利用資源に変え、石油プラスチック市場の3%をバイオプラスチックに置き換えるのが目標です。非常に大きな数字ですが、だからこそ社会に大きなインパクトを与えることができます」 「今は利益や利便性を追求し、消費された後のことまで設計されずに製造されたモノにあふれています。私には子どもが3人いますが、1人が海の絵を描いたとき、そこにペットボトルが浮いていたんです。ショックでした。製品をつくって終わりではなく、消費後の行方を考えた事業を設計し、社会を少しずつでも良くしていく。ワクワクできる未来をつくりたいです」 「会社を立ち上げたばかりのころに、大宜味村の『おばあ』に、なぜこの仕事をするのと聞かれました。とっさに『大宜味村のために』と答えた瞬間、何もできていないのにそう言ってしまった自分の傲慢さが恥ずかしくなりました。地元の協力で地域の産物を使わせていただいて事業をしているという視点が欠けていたんです。なぜこの仕事をするのかと問い続け、周りの支援をきちんと結果にして返す、その繰り返しが未来につながるビジネスなのだと思います」 宇田悦子(うだ・えつこ) 1985年3月生まれ、神奈川県出身。2017年にフードリボンを設立し、沖縄県大宜味村のシークワーサーを果皮ごと活用した製品開発をスタート。2019年からはパイナップルの葉から繊維と残渣を活用する取り組みを開始。製品の回収循環の仕組みの構築や土壌再生までの取り組みを、様々なパートナーとともに目指している。「捨てるものがない明日へ」をスローガンに、沖縄からグローバルサウスの課題解決事業へと成長させた。持続可能な素材の開発と地域経済の活性化に貢献し、環境保護に取り組む企業として日本国内、台湾、インドネシアへと活動を広げている。 (ライター 国分瑠衣子)