【不満も希望もないから燃えられない…】“悟っちゃってる”Z世代の悩みに共感する箕輪厚介さんが「幸せになる3つの方法」を伝授してくれた
「向き合いつづけるしかないけど、つらい…」には、プレイとして悩め
りんたろう そういう「何のために頑張るのか」という疑問と、ずっと向き合いつづけなきゃいけないじゃないですか。 箕輪さん まったくそう。それが人生だからね。 りんたろう 僕、哲学書を読んだりするんですけど、どれを読んでも結局向き合いつづけるしかないし、アップデートしつづけるしかないって書いてあるんです。 箕輪さん そうだよ。悩んでること=生き方だからね。 りんたろう でも、どう考えても、それはつらすぎる。それをしないと貧困から抜け出せないとか、生活が良くならないんだったらやるけど。 箕輪さん まあ、Z世代は生まれた瞬間からボーナスステージじゃん。だから、正直悩むこともエンタメ。 …はっきり言って、本当に苦しんでる人たちから見たら、クソふざけてない? 中世の哲学者のプレイと同じだよ、「生きるとは…」って。 天野 貴族だから言えるやつだ。 箕輪さん 明日戦争が始まったら、すべて吹き飛ぶよ。だから、プレイとして悩めばいいんだよ。 昔の人たちが、プレイとしてサラリーマンをやって、毎年ボーナスが上がっていくのを楽しんだように、今の人たちはプレイとして「生きるとは何か」って言ってるのが合ってるんじゃないのかな。
「選択肢が多すぎてつらい」人生ゲームを生きるコツは3つ
箕輪さん 今の人生ゲームを生きるコツは、すごく単純化すると、3つだと思ってるの。 「背負っちゃう」「推し活」「出家」。 りんたろう 背負っちゃう? 箕輪さん 会社とか家族を持つとか、責任を背負っちゃうってこと。 それこそ藤田さんは、ある程度成功しているのに、なんで頑張りつづけられるんですかという質問に「もう背負っちゃってるからです」って答えてて。 ABEMAも、すごい金と人を巻き込んで自分で立ち上げた以上、「もうやめるわ」とは言えない、と。 だから常に言っちゃって背負っちゃって、頑張らざるを得なくなって…を繰り返しつづけることによって、命を燃やしてるパターンだよね。 りんたろう なるほど… 箕輪さん 多分、藤田さんや幻冬舎社長である見城(徹)さんの世代は、背負っちゃう人が多い。達成・快楽寄りの人は、背負うことの負荷に興奮を覚えやすいし、そこに生きてる意味を見つけ出す。 でも、その「背負っちゃう」人が減って、最近は「推し活」が増えてきたよね。 自分でやりたいことは見つからないけど、会社のビジョンには共感できるから、自分の時間を使って貢献する。 対象は会社じゃなくて、NPOやオンラインサロン、アイドルでも良いわけ。仕事は決められたことだけやって、給料を好きなものに注ぎ込むことをモチベーションにするのでもいい。 りんたろう たしかに。 箕輪さん つまり自分じゃなくて、共感できる“他者”に生きがいを委託して、命を燃やしているということだよね。 で、あとは「出家」。 りんたろう え? 箕輪 俺も今年の年始にちょっと鬱っぽくなって、毎日散歩して、神社に行って、お布団を畳んでとかやってたのよ。 お布団をきれいに畳んで、瞑想してみたいな、丁寧な生活をしてたの。 2、3カ月しか続かなかったけど、救われた。 要はルーティン。やることが決まってるっていうのは、ラクなんだよ。 りんたろう それは、わかるかも。 箕輪さん 今りんたろうさんが悩んでつらいのは、無限の選択肢と自由があるからじゃん。 でも、やることを決めていればラクだよね。 まあ、俺みたいに2カ月ぐらいで「くだらねえー!」ってなるかもしれないけど(笑)。 りんたろう (笑)。 箕輪さん 結局、これも単なるプレイ。家に大仏が3体増えただけ(笑)。 でもこの3パターンだと思うんだよ。 りんたろう 3パターンを意識して、自覚しながら選択すれば、「違うな」って思ったときに戻ってこれるということなんですか? 箕輪さん でもねぇ… りんたろうさんは、早くにこっちに来すぎたの。それぐらい俯瞰しちゃうと、何をやってても入りこみきれない気がする。 りんたろう それ僕、実は昔からなんです。小学校の卒業式でも、部活の引退試合でも泣いたことなくて。 箕輪さん 冷めてんなぁ… りんたろう 熱狂しなくていいんですかね? 箕輪さん いいんじゃない? 一定バカじゃないと、熱狂するのは無理だよ。冷静に考えちゃ駄目なんだよ。人生を合理的に考えたら、熱狂とかしないんだろうと思う。 「背負っちゃう」のも「推し活」も「出家」も、全部合理的ではないもの。まわりから見たら「何やってんだアイツ」っていう。 スタートアップ起業家とか、飲みの場になると、毎回みんな自分が何に熱狂してるかのプレゼンになるわけよ。「次これ仕掛けてて…」みたいな。 俺は正直、「なんでそこに熱狂できるの?」って思う。でも、そいつらが羨ましいの。 りんたろう そうなんです、彼らのほうが輝いてるなって… 箕輪さん 物事を相対化させたり多面的に見たり、ゼロベースで考えたりシニカルに見たりする癖がある人は、火がつきにくいんだよね。 俺『死ぬこと以外かすり傷』を出したころは、そういう人がすごく嫌いだったの。いろんなことを冷笑的、皮肉的に言ってきたりして。内心「お前ら、口だけで何もしていないじゃん」とか思ってたけど… でも俺の根っこはこっち(俯瞰)側だったから、急激に戻った。 俺は多面性があるから起業家にはなれない。でも編集者には向いてると思うんだよ。 天野 そこの複雑さが、箕輪さんの面白さですよね。熱狂や没頭とはまたちょっと違う。 箕輪さん そもそも俺は「やる意味あるの?」でスタートする。じゃないと面白いコンテンツってつくれないから。 だから、りんたろうさんもそのままでいいんじゃない? そういう複雑性をもった人がつくるコンテンツが、同じように思ってる人たちを救うから。 クリエイターとしてものをつくる素質はあると思うよ。 りんたろう …そうですか? 箕輪さん ものづくりは達成や快楽とは違うから、夢中になれるんじゃないかな。 りんたろう たしかに僕、7~9月は新R25の新規事業のマーケティングをやってて、業務としては楽しめたんですけど、心からそこに向かう感じではなかったんです。 ただ、コンテンツづくりに関しては結構ずっと考えちゃってて。 箕輪さん あっ、それいいじゃん。没入してたってことじゃん。 りんたろう そういうことか… 箕輪さん 俺、今回のお悩み相談の企画書「解像度高!」と思って。 これは、新R25のレギュラーメンバーではつくれないんだよ。デビュー作だからできる濃度。手慣れちゃったら絶対作れない。要点だけ書いて、あとは現場でどうにかなるって思っちゃう。でしょ? 天野 そうですね(苦笑)。 箕輪さん りんたろうさんは上に向かうというよりも、下に掘るようなもののつくり方が向いているのかもしれない。悩みつづけているからこそ、それができるんじゃない? そのうえで、面白いコンテンツをつくったら、没入していくと思うよ。 りんたろう ああ… 箕輪さん たとえ15分の短い動画で、まったく再生数がとれなかったとしても、1人から「すごいうれしかった」というめっちゃ長いDMが来たとか。 そんな積み重ねが自分の成功体験になって、ハマることがあると思う。 りんたろう …僕、もともと事業責任者とか社長とかになりたいと言ってたんですけど、そっちではないんですかね? 箕輪さん わかんないけど、今頑張れるものがあるなら、それを深く掘ってみるのが大事よ。 それに、本当に優秀な人は、基本的に全部が優秀。コンテンツをつくるのがうまい人って、マーケティングや経営もちゃんとできたりするのよ。 だから今、変に自分はどっちパターンって気にしなくていいと思う。目的は、自分がつくったものが届くべき人にできるだけ多く届いて、深く刺さることじゃん。 そのために手段を選ばず全部やること。 りんたろう 今、僕には何の武器も実力もないっすもんね… 箕輪さん コンテンツづくりがいいのは、武器なんていらないところ。 武器は自分の悩みだったりするわけだからさ。自分みたいな人間のモヤモヤを解決しよう、届くものをつくろうと思えばいいの。 社会人の最初は、悩むよ。だって基本的に全員ウソついてるんだもの。 フレンチ食べに行くときにジャケット羽織るみたいな最低限のマナーと同じように、みんな面白くなくても笑ったり、すごいと思ってなくてもすごいって言ったり、やりたくなくてもやりたいって言ったりするじゃん。 でも大学までは、そんなやつはひとりもいないから、最初はそのギャップに悩むよね。「あれ、どうしてみんな急に大人になったの!?」って。 りんたろう まさに就活のとき、みんな第一志望じゃないところを第一志望って言っていて、「お前ら本気かよ?」って思った… 箕輪さん 俺も思った! ウソつくなよって(笑)。 コンテンツはウソつかないっていうのが強みだから。ウソは見抜かれるからね。 自分の心に正直なことを活かして、ずっと自分を見つめつづけることだよ。 りんたろう それを人から引き出す技術を磨いていけば、力になる…? 箕輪さん その前に、自分の感情に自分自身が一番敏感であることが大事。 自分のなかにない感情を人から引き出すのは難しいよ。たとえば1個の「うれしい」しか持ってない人は、相手の「うれしい」も1パターンしか引き出せないわけ。 でも自分のなかに「うれしい」が20個あることを解像度高く理解していれば、どのタイプなのか引き出せる。 「この『うれしい』は本当に喜んでるんじゃなくて、自分に言い聞かせてるパターンだな」とか。それがわかると、もっと相手を深掘りできる。 だから、自分を観察するっていうのはめちゃめちゃ活きてくるよ。 りんたろう それは結構やってるかもしれない。 天野 内省してるんだね。 箕輪さん やりまくると、制作者としては強くなるよ。自分はあくまでメディアで、“自分という媒介を通して伝える”存在になれる。 ずっと、うだうだ考えてていいの。そのかわり、面白いコンテンツをつくってねということよ。 自分と向き合って、酒飲んで考えて、すごく解像度が高いコンテンツがつくれたとき、それを一生懸命働いている人がふっと見て「ああ、たしかにな」って思ってくれる…みたいなことよ。 りんたろう なるほど。 箕輪さん 極めな。自分を俯瞰しつづけて、感情の解像度を高めつづけることを。 人の気持ちがわかると、あとで「才能なかったな」と思っても、ビジネスで活きるよ。 りんたろう たしかに、僕は「人の気持ちがわかんない」って言いつづけてたんですけど、意外とわかるんですよ。 箕輪さん まわりが浅すぎて、「違うだろ」と思ってるんじゃない? りんたろう 多分… 箕輪さん いいと思う。もっと気持ち悪くなったほうがいいよ、グツグツ自分の感情を煮込んで、それを一方で俯瞰してるっていう。