湯崎英彦・広島県知事に聞く(全文2)学びの変革実践…人材育成で活力生む
幼児から社会人まで 「学びの変革」で一貫した人材育成
── 東京が都道府県別では出生率が一番低い。“故郷に錦を飾る”のような考えで東京に来たものの、実際には、人らしい暮らしが犠牲になって、本来あるべき姿が置き去りにされていたところが、広島だったら両立できる。そのような県を目指しているイメージですか。 そうですね。 ── 広島県の“欲張り”な選択肢で見ると、例えば、子どもから大人まで一貫した教育。特に着目するのが、子どもの段階から広島から直結してグローバルにつながる取り組みです。具体的に目指すところと、施策の内容について教えてください。 大きな柱になっていますのは、「学びの変革」というものがありまして、これは一般的に今、言われていることですけれども、知識を得るということだけではなくて、その知識を使って物事を解決していく力を身につける。そのためには、当然、自分で考えなければいけないし、答えがないところの解決策を考えていくわけですから、その考える力、これは非常に重要ですし、あとほかの人と協働していくという力も重要です。こういう力、それはまた日本人だけではなくて、異質なバックグラウンドを持った人たちとも協働していくことができる。これがわれわれの目指している「学びの変革」です。 議論としては、今、主に大学教育の中で言われ始めていますけれども、広島県の認識としては、それは大学で始めても遅いので、高校からやらなきゃならない。高校でできるためには中学でその基礎がないといけないし、そのためには小学校でないといけないし。ということは幼児教育からだよね、ということで、幼児から大学まで、もちろん社会人も含めて、一貫した人材育成というのを進めようとしているところです。 特にこの「学びの変革」については、新しい考え方ですし、これは教える内容も変わってきますし、教え方も変わってきますので、なかなかパタッと全部いっぺんに変えるというのは難しいということがあります。いろいろなことを試行錯誤しながら開発をしていかなければいけないということもあるので、その「学びの変革」を象徴的に推進していく学校をつくろうと、今、企画をしています。