城氏語る「カメルーン戦の採点は60点。問題は2列目が機能しなかったことだ」
ここまではいい。問題は大迫をワントップに置き、原口、南野、堂安で2列目を形成した攻撃陣のコンビネーションが機能しなかったことだろう。リバプールで揉まれた南野は、確かにカメルーンのディフェンス陣を2、3人相手にしても動じないほど強くなっていた。だが、前半21分にゴール前でフリーでクロスをもらいながら決めきれなかった。 「点を取りたい」との気持ちが先行しすぎていた。大迫もコンディションが良くなかったのか、ボールを収めるシーンはほとんど見られず、ポストの役目を果たせなかった。せっかく成熟しかけていた前線の連携が、この新型コロナ禍の空白で、まるでリセットされてしまったようだった。 一番の原因は2列目に中島を招集できなかったことだろう。中島は、左サイドでボールを収めることもできるし、得意のドリブルで突破もできる。攻撃スタイルが多彩で、攻撃のリズムを変えるための重要なアクセントになっていた。だが、この日は、中島を欠いたことでパスワークでしか相手ディフェンスを崩すことしかできなくなっていた。W杯予選の道程を考えると、常にベストメンバーが揃うとは限らない。今後の代表戦では、2列目のいろいろな組み合わせを試すべきだろう。 その意味で期待感のある2列目のプレーヤーは後半20分から出場した久保である。 しかし、この日は、久保が入ることによって化学反応は起こらなかった。見せ場と言えば、個人技のドリブルでペナルティエリアに切り込んだシーンと、最後にフリーキックを直接枠に蹴り込んだシーンだけ。南野と久保の連携をもっと見たかったが、5分ほどで南野は鎌田に交代した。久保に関しては、流れを変える前に時間切れになるという印象が強い。 新天地のビジャ・レアルでも、途中出場が続いているが、私は、本来、久保は先発で起用されて力を発揮するタイプだと見ている。13日のコートジボワール戦では、先発で使って南野らとのコンビネーションを試してもらいたいのだが、森保監督が、なかなか先発起用に踏み切れないのは守備面での課題が残っているからだろう。運動量、組織的な守備の連携力でいえば、久保よりも他の選手の能力が高いと判断しているのだと思う。 しかし、久保の独特のリズムや、その才能あふれるパスワークを生かすには、久保が周囲を、周囲が久保を理解する必要がある。それができなければ久保の才能を持て余したまま終わる。FC東京時代は、周囲が久保についていけていなかった。森保監督は、チームのテーマにベテランと若手の融合を掲げている。そう考えると久保を代表チームに融合させるための「我慢」も必要になってくるのではないだろうか。 (文責・城彰二/元日本代表FW)