祖母がご先祖さまの供養で、毎回お寺に「2万円」を渡しています。少し高い気がするのですが、相場はどのくらいなのでしょうか?
法事や法要では、お寺にお礼の気持ちとして「お布施」を渡すのがならわしです。お布施の相場は明確な金額が決まっておらず、地域や法要の内容によって異なるといわれています。また、おおまかな相場しかない以上「気持ち」が渡す金額の大半を占めるでしょう。 今回は、1回の法事や法要でお寺にいくら渡すものなのか、お布施の相場について解説します。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
法事と法要におけるお布施の相場
一言に法事や法要といっても、内容によって多数の行事が存在します。表1は、主な法事・法要と、渡すお布施の相場です。 表1
※筆者作成 ※あくまで相場であり、必ずしも上記の金額に収めなければならないわけではありません。 表1のうち、毎年実施されるものは「お盆」と「お彼岸」です。お寺の方を毎年呼ぶか否かは各家庭や地域によって異なり、場合によっては交通費の「御車料」や会食に参加できなかったときの「御膳料」を別途支払うケースもあります。 ■お布施の金額に決まりやタブーはない お布施はあくまでも「感謝の気持ち」を表すものであるため、義務ではありません。 しかし、今後のお寺との関係性を考慮するなら、渡しておいたほうが無難でしょう。相場ほどの金額がすぐに用意できない場合には、その旨を伝え、後で追加分を渡しても問題ありません。 また、フォーマルな場で渡すお金にはタブーとされる数字が存在する一方、お布施には禁止・失礼にあたる数字はありません。4や9、偶数といった金額でも問題ないため、相場を考慮したうえで渡す金額を決めるとよいでしょう。 ■毎年の法要で2万円は高め 表1のお盆やお彼岸の相場を見てみると、3000円~2万円程度であることが分かります。今回のケースでは毎回2万円を包んでいるため、相場基準なら上限いっぱい、または相場よりも少し高い金額といえるでしょう。 しかしながら、3000円~2万円という金額はあくまでも相場です。お布施の金額に決まりはないため、感謝の気持ちを込めたいからと相場より多く包んでも、特に問題はありません。 お布施が家計を圧迫している場合には金額を下げるべきですが、家計に影響を与えていないのであれば、目くじらを立てるほどの金額ではないでしょう。 ■法事や法要にかかる費用は相続税の控除が適用されない 葬式の場合、お寺の読経料として支払ったお布施は相続財産の控除対象です。しかし法事や法要のお布施は控除できないため、初七日や四十九日に渡したお布施は、単純な支出として処理されます。 また、国税庁が定める「相続財産から控除できる葬式費用」によると、納骨をするためにかかった費用も控除対象である旨が記載されています。しかしこれは、納骨の行為そのものにかかった費用のみが対象で、納骨のお布施は対象外です。 控除できる葬式費用は細かく定められているため、相続税対策をする方は国税庁のホームページを確認しましょう。
お布施は無理のない金額に設定しよう
お布施はあくまでもお寺に対する感謝の気持ちや施しとして渡すものであり、必ずしも多く包む必要はありません。金額よりもマナーや気持ちが重視されるため、相手に失礼のない範囲かつ、家計と相談したうえで金額を決めるとよいでしょう。 親族の方が多く包んでいても、家計に大きな負担をかけていない限りはとがめる必要はないでしょう。 出典 国税庁 No.4129 相続財産から控除できる葬式費用 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部