決して博打ではなかった……賛否集まるポーランド戦西野采配の真相に迫る
また、戦前に想定していなかったプランだったことも明かした。 「グループステージの1、2戦目を攻撃的に、アグレッシブに戦ってきて、3戦目で勝ち上がりを狙うなかで、この選択はまったくなかった。他力を選んだのは不本意。でも、選手に遂行させた。ただ、ワールドカップにはそういう戦いもあり、その選択が正解だったとすれば、勝負に勝ったということかなと。そういうフットボールもあって良いのかということを初めて感じたゲームであり、ワールドカップのグループステージを突破するうえでの究極の選択だったかもしれない。自力ではなく他力を選んだことには少し後悔があるが、今までのアグレッシブな戦い方に運がついてくれた、微笑んでくれたのかもしれない。選手たちにブーイングを浴びせながらプレーさせたということも、自分の信条ではないので、これからいろいろ伝えたいと思う」 もし、コロンビアが追いつかれていたら、「なんて消極的な判断だったのか」と大批判を浴びることになっただろう。 だが、果たして西野監督の判断は、危険な賭けであり、大博打だったのか――。 コロンビアだってセネガルに追いつかれ、日本がポーランドに追いつきでもしたら、グループステージ敗退が決まるのだ。コロンビアも意地でも1-0の逃げ切りを図るだろう。しかも、先制されて焦ったセネガルは攻撃が空回りしていたのだ。おそらくその様子を日本のコーチングスタッフは、映像で確認していたに違いない。 コロンビアが勝つ可能性と追いつかれる可能性――それを天秤にかけたとき、勝つ確率のほうが高いと踏んだはずだ。 一方、日本が同点を狙いに行って、カウンターを浴びて失点でもしたら、ここまで積み上げてきたすべてが、一瞬でフイになってしまう。 日本が追いつく可能性よりも、0-1のまま終わらせて、コロンビアの勝利に命運を委ねるほうが可能性は高いと判断した――。つまりは確率論であり、決して大博打でも、ましてや茶番などでもないだろう。 そこに、「夢見がちなリアリスト」である西野監督の本質を見た気がした。