2024夏の高校野球・スカウトの評価を上げた選手たち。旋風を起こした学校のあの選手や超高身長投手など
それでも、好走塁で鮮烈な印象を残しており、「意外と足が速いことがわかったのは収穫」と語るスカウトもいた。将来的には浅村栄斗(楽天)のように広角に長打が打てる内野手に育つ可能性がある。 今朝丸、石塚の投打の目玉が消化不良に終わる中、強いインパクトを残したのは藤田琉生(ふじた・りゅうせい/東海大相模・神奈川)と宇野真仁朗(うの・しんじろう/早稲田実)だ。 藤田は身長198㎝の超大型左腕で、今夏の甲子園はベスト8に進出。両親は共に180㎝超の長身で、母・賢枝さんは元NECのバレーボール選手だった。今夏は最速149キロをマークし、右打者の膝元に鋭く曲がり落ちるナックルカーブもさえ渡った。 初戦の富山商戦では7回13奪三振の快投を見せ、「今朝丸と同等」と高い評価をするスカウトもいた。登板前にはブルペン横で華麗な側転を披露するなど、大型投手特有の鈍重さは皆無。50m走5秒96という運動能力の高さも将来性豊かだ。 宇野は高校通算64本塁打を放つ強打者だが、特筆すべきは今年に入ってから木製バットを振りこなしていること。 今春から高校野球界で導入された低反発の金属バットよりも木製バットのほうが、相性がいいことから、大谷翔平(ドジャース)も使用するチャンドラー社製の木製バットを使用している。今夏の西東京大会では2本塁打を放ち、甲子園に乗り込んできた。 甲子園初戦の鳴門渦潮(徳島)戦ではレフトフェンス直撃の3点二塁打を放つなど、3安打3打点の大暴れ。しかも、レフト前ヒットで一気に二塁を陥れるなど、好走塁でも観衆を沸かせている。 宇野が憧れている選手は山田哲人(ヤクルト)ということだが、スピード感のあるプレースタイルはまさに山田と重なる。ただ、2回戦以降はノーヒットに終わったムラっ気がどう評価されるかというところだ。 甲子園春夏連続出場だった強肩捕手の箱山遥人(はこやま・はると/健大高崎)や総合力が高い好右腕の高尾響(たかお・ひびき/広陵・広島)は、いずれも甲子園1勝を挙げて敗退。箱山は持ち前のスローイングで何度も好守備を見せた一方、打撃面は2試合で1安打に終わった。それでも、今年の高校生捕手最上位の評価は揺らがないだろう。 高尾は要所で締める投球を披露したものの、あるセ・リーグ球団スカウトが「広島大会からずっと状態が良くない」と評したように物足りない内容だった。