【元銀行員が解説】退職金「投資信託&定期預金」のセットプラン、定期預金の金利は魅力だけど飛びついて良いの?
高金利定期の裏にある金融機関の狙いとは
金融機関が提供する投資信託とセットの優遇定期預金には、資産運用を促進する戦略が背景にあると考えて良いでしょう。 低金利が続く現状では、金融機関は単に預金を集めるよりも、運用商品の購入を通じた手数料収入を重視しています。 特に、退職金の運用も取り込みたいという銀行の意図があり、優遇定期預金を利用して投資信託への関心を引きつけようとしています。 セット商品では、定期預金に一時的な優遇金利を提供することで、投資信託への関心を促し、顧客にその購入を検討してもらうきっかけを作ります。さらに、優遇期間終了後には、通常金利に戻るタイミングで、より高度な運用商品の提案を行い、長期的な資産形成をサポートするセールスチャンスを狙っています。 また、多くの銀行でこのようなセット商品が店舗限定で提供されているのは、顧客との対話を通じて、個々に適した運用商品を提案するための戦略なのです。
銀行担当者から得る情報を有効活用する
顧客から見ると、投資信託と定期預金のセット商品については、「高金利定期預金を目的に契約するのではなく、投資信託を始めるための有効な手段」と捉えることができます。 このような商品は単に優遇金利を享受するために利用するのではなく、資産形成の一環として投資信託に興味を持ち、その運用効果を長期的に活用するために設計されています。 まず、銀行の担当者から提案される運用商品に関しては資産運用の学びの一環と捉え、投資信託の内容や運用戦略をしっかりと検討することが重要です。担当者は手数料収入を目的としているとはいえ、提供される情報には顧客の資産運用を支援する有益な内容が含まれています。 彼らが顧客を騙す意図はなく、むしろ投資信託の特性やリスクについて多くの知識を提供してくれるため、その情報を活用しつつ、他の情報源からも情報を補完することで、自身で判断することが肝要です。
まとめにかえて
セットプランを利用する際は高金利定期預金を目的にせず、投資信託に魅力を感じた上で選ぶことが重要です。多方面から情報を集め、リスクや手数料を理解し、長期分散投資を前提に判断しましょう。 また、一度に全資産を投資するのではなく、少額から徐々に投資を増やすことでリスクを抑え、安定した資産運用を進めることが理想的です。 投資信託を活用して、長期的な資産形成を目指すことが大切になります。
参考資料
・日本銀行「主要時系列統計データ表 無担保コールレート・O/N 月平均/金利」
石川 美香