世界の憧れ”きれいな日本の公衆トイレ”の危機をAIが救う!? 混雑予測、清掃回数管理、さらに便器数&動線の最適化など最新技術がすごすぎる
駅やオフィスビル、動物園・水族館、病院など、いつ、どこを訪れてもおよそキレイで、しかも無料。それが日本のトイレです。「きれいなトイレは日本の文化」とまでいわれ、訪日外国人客はその充実ぶりに驚き、日本に帰国した人は「ホッとする」といいます。ただ、空前の人手不足もあり、「いつでも・どこでも無料でキレイ」は、難しくなっているそう。こうしたトイレのお困りごとを、AIやDXで解決しようという試みが、LIXILではじまっています。その詳細を聞いてみました。
トイレ設計をDX化。みんなの意見でよりよいトイレ設計を「選べる」ように
LIXILは家庭用をはじめ、さまざまな設備機器等を生産している住宅設備メーカーです。今回注目したのは、住まい用ではなく、誰もが利用するパブリックトイレ。駅や病院、商業施設など、住まい以外のすべての建物に設置されているトイレのことですが、現在、設計と維持清掃という面で課題を抱えているといいます。まずは、設計のほうから話を伺っていきましょう。 「パブリックトイレとは、みなさんがお仕事や外出先で、利用するトイレです。今まで、建築物が設計されるときには、利用が想定される人数に対して、便器の数や配置といった条件を細かく考慮する必要がありました。今回、LIXILでは、そういった要件を入力すれば自動で設計できるクラウドサービス『A-SPEC』を開発し、AIがつくったプランを人間が選ぶというサービスを開始しました」。こう話すのは、このプロジェクトを率いる小松紀明さん。 もともと、LIXILの社内には、パブリックトイレの設計を行う部署があり、「もっとたくさんの方の困りごとを解決したい」という想いから誕生した事業だそう。社内では人が関わるためにどうしても設計時間の短縮や設計品質の向上という課題を抱えており、その課題をDXにて解決を目指して「社内ベンチャー」として誕生しました。
小松さんが自動設計でまず手掛けたのが、「バリアフリートイレ」。このトイレ一つとっても、広さが限られた空間で、車いすユーザーや小さなお子さん連れなどが利用するため、便器だけでなく、洗面器、おむつ交換台、着替え台、オストメイト対応の流しなどをバランスよくレイアウトする必要があるのと同時に、法律で定められたガイドラインも確認しながら設計しないといけないため、知識や経験も必要なとても大変な作業となります。
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