「薬育」とは?大人も子どもも知っておくべき「薬」のことを薬剤師が解説
薬育という言葉を聞いたことがありますか? 薬育とは、薬の正しい知識を身につけることです。近年は、ネットの普及により、薬の乱用や誤用をしやすい環境になっています。健康を守るには、子どものうちから薬について学ぶのがとても重要です。 今回は、薬育の基礎知識や重要性、学び方についてご紹介します。 【画像】注意!赤ちゃんの股関節脱臼の見分け方
薬育とは?
薬育とは、子どものうちから薬の効果や副作用、正しい使い方などを学ぶことです。薬の正しい知識を身につけ、「誤用・乱用の予防」「自分の健康管理」ができるようになるのを目指します。 薬育は、主に小学校や中学校を対象に行われています。(※1) ただし、子どもが薬の正しい知識を身につけて実践できるようになるには、家庭でも薬育に取り組むのが大切です。 子どもの健康を守るために、ママとパパも大人向けの教材や市民を対象にした薬育事業などで薬について学びましょう。
薬の誤用・乱用を防ぐ
近年の薬物乱用では、市販薬のオーバードーズ(薬の過剰摂取)が社会問題になっています。また、SNSでは、薬の誤った使い方が拡散されていることも。 さらに、ネット通販を利用すれば市販薬がすぐに購入できるだけでなく、日本では医療で使われる医薬品のなかにも、一般の人が自己判断で入手できるものもあります。 このように、薬を活用するハードルが下がっている現代は、昔よりも薬の乱用や誤用が起こりやすい環境になっているといえるでしょう。 薬育でオーバードーズや誤った知識をもとにした自己判断での薬の使用などの危険性を学ぶことで、薬の乱用や誤用を防ぐことにつながります。(※2)
セルフメディケーションの推進
薬育には、セルフメディケーションを推進する役割もあります。 セルフメディケーションとは、自分自身の健康に責任を持ち、軽度なからだの不調は自分で手当てすることです。薬育で薬の正しい知識を身につけると、軽度の不調には正しい用法・用量を守って市販薬を活用したり、適切なタイミングで医療機関を受診したりできるようになります。 たとえば、「かぜ症状が軽いときは市販のかぜ薬をのんで休む」、「熱が下がらない場合、市販の解熱剤を何日も使うのではなく病院を受診する」などの判断を自分でできるようになるのがセルフメディケーションです。 このように、薬育は病気の重症化予防や健康維持につながり、子どもが大人になったときの健康寿命をのばすことにも役立ちます。(※3)