現定員で推移したら…2030年保育所過剰と待機児童深刻化の自治体はどこ?
総務省が2016年10月に発表した平成27年国勢調査確定値で、大正9(1920)年の調査開始以来、初の減少に転じた日本の総人口。厚生労働省がまとめた人口動態統計の年間推計でも2016年生まれの子どもの数は1899(明治32)年の統計開始以来、初めて100万人を割り、98万1000人にとどまる見通しであることが明らかになりました。 各自治体は少子化対策として、保育サービスの充実に取り組んでいますが、このまま人口減少が進むと、待機児童の問題はどのようになると考えられているのでしょうか。内閣府がまとめた「地域の経済2016―人口減少問題の克服―」からみていきます。
全都道府県で少子化進行 島根県や福井県では保育所定員が過剰に
「地域の経済2016―人口減少問題の克服―」では、将来的な保育サービスの過不足がどの程度かを把握するため、都道府県別に、潜在的な児童数に対する保育所定員の比率がどのようになっているか調べています。具体的には、保育所の定員は現状水準に設定したまま、2015年時点の0-4歳人口と、2030年の0-4歳の将来推計人口(国立社会保障・人口問題研究所)の場合で、その比率はどのように異なっているか比較しました。 その結果、全都道府県で2030年の保育所定員の比率は2015年よりも上回るという結果になっています(グラフ1)。2015年4月の保育所定員に対する4歳以下の人口比率は全国平均39.4%で、その数値より高いのはおよそ半数にとどまっていますが、2030年は31県がその値を上回っています。また現時点でも、保育所定員が4歳以下の子どもの8割を超えている島根県や、次に多い福井県や山梨県、鳥取県はさらにその比率が上がり、過剰感が相当高まるとみています。
このまま推移しても2030年時点でも解消しないのは…
一方で、さらに少子化が進んだ2030年時点でも、神奈川県や大阪府など都市部は、現在の定員のまま推移では、まだ待機児童の解消は見込めない状況です。現在より出生率が上昇し、その子どもたちが都市部に集中すればさらに不足感が高まると示唆しています。