MT-09のスポーティな走りを「Y-AMT」が誰にも手軽に楽しませてくれる!
違和感のない乗り味。Y-AMTで高性能が身近に感じる
エンジンを始動しようと、いつものクセでクラッチレバーを握ろうとしたが、クラッチレバーが装備されておらず不思議な感じがした。スタートボタンを押すとエンジンはすぐに始動。人差し指で「+レバー」を手前に引くと、ガチャンという音ともに軽い衝撃を生じつつ1速に入った。アイドリングはメーター目視で1100~1200rpm。そこからスロットルを少し開けていくと、ギクシャクした挙動は一切なく、MT-09 Y-AMTはスムーズに発進した。さらにスロットルを開けると、トルクの盛り上がりとともに加速力が発揮され、再び「+レバー」を操作すると、カチャンという音とともに2速にシフトアップした。 初めて乗ってもシフトレバーは操作しやすく感じられ、発進時のクラッチ操作は適切に行なわれ、シフトチェンジも滑らかだった。Y-AMTのクラッチ&シフト操作が熟練したライダーのようにスムーズだったので、クラッチレバーがないことにもすぐに慣れてしまった。 MTモードには「SPORT」「STREET」「RAIN」の3パターンがあらかじめセットされている。SPORTはアイドリングから太いトルクが立ち上がり、2000rpmくらいからパワフルに加速する。スロットルレスポンスは全域でクイックで、マシン挙動も速い。まさにスポーティな乗り味となる。 STREETはスロットルレスポンスが少しマイルドになり、その分マシン挙動のギクシャク感も減る。トルクの立ち上がりも3000rpmくらいからとなり、シフトチェンジも滑らか。乗り味は軽快で、街中で扱いやすい。 RAINはスロットルレスポンスがマイルドで、トルクの立ち上がりは3000rpmでSTREETと変わらないが、回転上昇はゆっくりになる。後輪がスリップせず、トラクションする感じが伝わってくるので乗りやすい。 ATモードは「D」と「D+」の2パターンがセットされている。 Dは各ギヤとも3000rpmくらいで早めにシフトアップし、トルク変動が少ない。スムーズな乗り味で、速さも充分。 D+は各ギヤで高回転まで引っ張り、しっかり加速してからシフトアップする。スロットルを閉じるとシフトダウンし、次にスロットルを開けた時に確実に加速力を発揮できる状態をキープする。 どのモードもシフトチェンジの際のクラッチ操作は適切かつスムーズで、停止時には1速になる。ライダーがクラッチ操作をしなくてもエンストしないので、渋滞などの低速走行で疲れにくい。またVベルト駆動のスクーターのような加速のタイムラグは皆無なので、ATモードでもオートバイらしい乗車感になっている。 フロント荷重しやすいライディングポジションもあって前輪のグリップ状態を感じやすい。6軸IMUとトラクションコントロール、リフトコントロールなどが連携して前後輪を路面にしっかり接地させようとするので、ヒラヒラではなく、前後輪のグリップを感じながらしっとりした落ち着きのあるハンドリングになっている。前後サスは衝撃吸収時のストローク収束が早めで、しっかり感があるフラットな乗り心地を提供してくれる。 Y-AMTのMTモードはライダーのクラッチ操作を省くことでライディングに集中しやすく、MT-09の高性能を手軽に楽しめるようになる。また、ATモードではシフトチェンジ操作も省けるので、利便性もより高まる。それでいてライディングポジションや加減速のシフトチェンジはオートバイそのものなので、大型バイクビギナーやリターンライダーの負担を軽減し、不安なくライディングができるようにサポートしてくれる。 Y-AMTはヤマハの新たなスポーツバイクの提案だが、大型バイクの間口を広げる可能性とも感じられた。個人的にはMTモードのDパターンが大型バイクの余裕を感じつつ、スムーズかつゆったりしたライディングを楽しめ、いちばん多用した設定となった。 YSPのWEBサイトでは、MT-09 Y-AMTの試乗車キャラバンを展開している。実際にY-AMTを体感できるチャンスなので、気になっているかたは問い合わせみてほしい。
2024年型ヤマハMT-09 Y-AMT主要諸元
・全長×全幅×全高:2090×820×1145mm ・ホイールベース:1430mm ・車重:196kg ・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブ直列3気筒888cc ・最高出力:88kW(120PS)/10000rpm ・最大トルク:93N・m(9.5kgf・m)/7000rpm ・燃料タンク容量:14L ・変速機:6速リターン ・ブレーキ:F=ダブルディスク、R=シングルディスク ・タイヤ:F=120/70-17、R=180/55-17 ・価格:136万4000円
小川浩康
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