画面の向こうから"夜の店"の女性が優しく見つめてくれる!? カラオケDAMの"癒やし機能"「本日出勤」の謎に迫る!!
■苦境のスナックを助けたい ――スナックの元気がなくなるのは、カラオケ業界にとっても大きな問題なんですね。 大久保 2025年問題で後継者不足も心配されていたところに、コロナ禍がありました。そもそもスナックは少人数で切り盛りしているところも多いですから、そうした環境で、少しでも楽しくカラオケをやってもらえたら、と考えました。 カラオケボックスなどでは使えない、主にスナック向けの機能なので大々的に宣伝するのではなく、営業マンがお店で説明する形にしています。 ――「本日出勤」には、年代も含め、いろいろなタイプの女性がいますよね。 大久保 「カラオケの背景に映る」という条件で、芸能プロダクションに声をかけて、200人の方をオーディションしました。そこから20~40代の30人を選んでいます。 気をつけたのは、とにかく「タイプが偏らないように」ということ。私以外にもプロジェクトチームのメンバーがいるので、みんなで意見を出し合いながら決めました。 ――具体的には、年齢とか? 大久保 身長や髪型についてもですね。人間の好みって、本当に似た感じになってしまうんです。 「本日出勤」を「精密採点」などのようなコンテンツではなく機能に位置づけたのは、スナックで使っていただくことを念頭に置いていたからです。この機能を使いたくないお客さまに配慮し、1曲ごとの対応にしました。営業ツールとして、カードも作ったんですよ。「本日出勤カード」というんですが。
■おじさんのための究極の機能を ――へえ、トランプみたいですね。登録されている30人のデータをカードにしたんですね。 大久保 そうです。番号も振っています。おニャン子クラブ方式ですね。番号は単純に、撮影した順です。 ――僕がよく行く店には、なかったな。これ、いいですね。 大久保 それはすみません。1組、差し上げますよ。 ――こうして見ると皆親しみやすい名前ですね。 大久保 はい、源氏名は昭和っぽい名前を意識しています。「カードに予約のためのQRコードを載せてはどうか」という案もありましたが、それはやりません。あくまでアナログでやりたいんです。店でお客さまに渡すと、テーブルに並べて楽しそうにカードを見てゆくんですよ。真剣そのものです。 ――テーブルの上にカードを並べて、というのが味わい深いです。そういえば、時々「退店ピンチ、私を選んで」とデンモクに出てきますよね。指名が少ないと入れ替わるシステムなのですか? 大久保 そうです。活性化していくために、時期は決まっていませんが、だいたい1年に1回くらい、入れ替えを予定しています。飽きられるのが怖いので。 だから指名の順位も表には出しません。出すと上位のメンバーに人気が集中してしまうでしょう。 ――よく行くスナックで、29番のさとみさんを推している男性がいて、「どうしたら応援できるのか」と気にしているんです。 大久保 とにかく指名してもらうことですね。「本日出勤」は、一度気に入られると、すごく使ってもらえるんです。女性のファンになって「どうやったらこのコに会えるんだ」という問い合わせがウェブ経由で来ることもあります。 ――「一番指名してくれたお店を女性が訪問する」とか? 大久保 今のところは考えていませんね。今後、この機能の人気がさらに増せば、何かできるかもしれませんが......。先日、初めて入れ替えをしたんですよ。新メンバーの関西弁のしずかちゃんが早速、人気になっています。 ――人気順位を公開しないあたりも大人な仕様です。 大久保 「本日出勤」は、とにかく自分のようなおじさんが喜んで、気持ち良く指名して一曲でも多く歌ってもらえることを考えています。 「おじさんによる、おじさんのためのコンテンツ」なんですよ! だから画面の女性からのコメントは、常にホメ言葉です(笑)。 ――男性の夢ですね......。 大久保 実際のスナックだと、お客さまが歌っている間もいろいろな仕事が入ってくるので女性キャストに歌に集中してもらうのは難しい。でも、「本日出勤」なら......。 ――ずっと見つめてくれる!