「月収64万円」「退職金2,300万円」で人生最高潮の60歳・元会社員、退職祝いの温泉旅行で愛する妻が豹変…暗雲漂うリタイヤ生活にトドメを刺す、銀行からの「一通の封書」【FPの助言】
利息でウハウハのはずが…「一通の封筒」で、夫婦は再び“修羅場”に
退職金が振り込まれてすぐ、伸樹さんは講師の助言どおり、外貨預金での運用を始めていました。退職金2,300万円全額を、年利8%になるよう「米ドル・南アフリカランド・トルコリラ・メキシコペソ」の4つの通貨に振り分けました。 運用を始めた当初は、為替相場や利息収入に特に大きな問題はなく、日常生活もそれまでと変わらず送ることができました。「これで年間180万円ほどの利息が期待できる。生活も少し楽になるだろう」。 しかし、それから数年経ったある日、伸樹さんのもとに、一通の封筒が届きました。差出人は外貨預金をしている銀行となっており、「残高報告書」と記された書類が同封されています。報告書には、受け取った利息額や手数料、そして円換算された預金残高が詳細に記されていました。円換算された残高は、「1,800万円」。そこには、退職金が500万円も目減りしていると記されていたのです。 思いもよらない事態に驚愕する伸樹さん。「利息はずいぶんもらっていたはずだが……どうしてこんなことに?」伸樹さんは、震える手で報告書を何度も見返しました。 どうやら、トルコリラやメキシコペソといった高金利通貨が、為替相場の急落によって大幅に価値を失ったのが目減りの原因のようです。受け取った利息はたしかに記載されていましたが、為替差損がそれ以上に大きく、結果として資産全体が大幅に減っていました。 「やってしまった……わずか数年で500万円もの退職金を失ってしまうなんて。妻になんて説明すればいいんだ……」 温泉旅行での一件をきっかけに夫婦の間に溝ができ、近頃は会話もめっきり減ってしまっていた高橋家ですが、「言い逃れはできない」と、伸樹さんはその日の夕食後、封筒を手に貴子さんにありのままの事実を告げました。 すると、貴子さんは顔を真っ赤にして号泣してしまいました。 「……だから言ったじゃない! 投資は損をすることもあるって! どうしてそんな軽率な行動を取ったのよ……もう戻ってこないのよ? これから暮らせなくなったらどうするの!」 当初、年間180万円の利息で生活費の不足分を補える予定でしたが、現実はその期待とはかけ離れたものに。家族の将来を思って下した決断でしたが、逆に不安と失望を生む結果となってしまいました。 その後、伸樹さんは「これ以上資産が減ったらどうしよう」と恐怖に耐えられず、外貨預金をすべて解約することに。しかし、タイミングが悪く、為替相場が不利な状況で解約したため、最終的に元本はさらに減少。損失はさらに増えることになりました。
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