相続財産が少額でも注意…相続争いに発展する「3つの典型トラブル」【弁護士が解説】
遺産相続争いは避けたい…未然に防ぐ方法
遺産相続争いが相続人間の話し合いでまとまらないと、家庭裁判所での調停や審判で解決を図ることになります。そのため、予想以上に相続争いが長期化するリスクをはらんでいます。 このような事態にならないよう、普段から兄弟姉妹で相続に関するコミュニケーションをとっておくことが大切です。 例えば被相続人が遺言を残さなかった場合、遺産をどのように分割するか、事前に大まかな対応を話し合っておくことで問題を避けられるでしょう。 また、被相続人はなるべく遺言書を遺すように心がけた上で、子ども同士が揉めないように財産の分配方法を考え、慎重に遺言内容を決めることが重要です。他にも家族信託を利用することで遺産相続のトラブルを避けられる可能性もあります。 家族信託は、不動産や預貯金などの財産を信頼できる家族など特定の人に対して、あらかじめ定めた信託目的に従い、管理、処分する財産管理の方法です。 もし、認知症の不安がある場合には後見制度を利用しましょう。後見制度は、認知症などの判断能力が不十分な人の財産管理や身上監護などを成年後見人が代わりに行ってくれる仕組みです。財産管理を生前時に適切に行っておくことで相続トラブルを防ぐことができます。
遺産相続争いが起きた際、検討したい「対処法」
被相続人が亡くなり、兄弟姉妹間で遺産に関する話し合いをすると、身近な存在であるがゆえに感情を表に出し、不満をぶつけ合ってしまうこともあるかもしれません。争いが起きても、冷静になることが求められます。まずは次の対処法を検討してみましょう。 遺言書を探す まずは被相続人の遺言書を探しましょう。被相続人が自ら作成した「自筆証書遺言」が自宅に残されている場合もあります。 また、遺言者が公証人へ口頭で遺言の内容を伝え、公証人が文章化するかたちの遺言である、「公正証書遺言」が作成されているかもしれません。こちらの遺言の有無は、遺言者が亡くなった後に、相続人が公証役場に問い合わせることで確認することができます。 遺言書が見つかったら、自筆証書遺言の場合は家庭裁判所の検認を経て、その内容を相続人で確認しましょう。遺言内容が互いに納得できるものであれば、遺言に従い相続手続きを進めます。 財産調査を行う 被相続人が遺言書を残していない場合、相続人が複数いれば、遺産を分けるための話合いが必要となってきます。そこでまずは被相続人にどれくらいの遺産があるのか、調査をする必要があります。 被相続人の預金通帳や固定資産税評価証明書等を収集し、遺産を把握しましょう。調査の過程で、相続人が予期していなかった遺産が発見される可能性もあります。 例えば、被相続人には土地・建物の不動産資産や預金くらいしか財産がないと思っていても、実際には株式や投資信託を保有していて、現金化できる資産が豊富にあるというケースも考えられます。 こうしたケースでは土地・建物は兄が相続し、残りの金融資産は他の兄弟姉妹が引き継ぐという分け方が考えられます。