コロナ禍でも「成長業種」の兆しをいち早く発見、「銘柄発掘」のヒントは“ちょうどいい都会”にある
それまで多かった中間層を狙ったようなお店が激減したのも印象的だった。とんかつの「松のや」は高級ジュエリー店へ、「吉野家」は漢方薬局へ、定食の「松屋」は高級ブランドの買い取りに特化したリサイクルショップの「ブランディア」へ、チョコクロがウリの「サンマルクカフェ」は1時間5500円の整骨院へ、格安焼き鳥屋は楽器店へと変わった。 後に入ったのは利益率の高そうなお店ばかりだ。調べてみると、7店舗のうち5店舗がより利益率の高い業態へと変わっていた。
「多くのお客さんに・薄い利幅で」の商売から、「少ないお客さんに・厚い利幅で」の商売への変化だ。 コロナ禍で街をそぞろ歩く人が減ったことで、「どうしてもそこへ行きたい」という人を相手にした業態でないと成り立たなくなったのだろう。そんな変化に気づいてはいたものの、投資のヒントになるかというと、まだ私にはピンときていなかった。 池袋の中でも私がとくに注目していた場所がある。 池袋駅北口から徒歩30秒という超好立地にある店舗だ。ここは1990年代には和光証券があった。個人的には平日に池袋へ寄ったときに株価をチェックできる便利な店舗でもあったが、株といえばバブルの象徴だ。
バブルが崩壊し株式市場が低迷した2000年代にはクレジットカードのATMが密集することになった。銀行の不良債権問題の処理が長引き、日本人の金回りが悪くなったため消費者金融や信販会社からキャッシングする人が増えたのだろう。しかし、それもグレーゾーン金利の撤廃など法規制の強化により徐々に廃れていった。 その後に入ったのが「おかしのまちおか」だ。背景にあったのはインバウンド消費。安価で安全だし、美味しい日本のお菓子は外国人観光客にとって格好のお土産だ。それを調達するためのお店として「おかしのまちおか」は支持された。
コロナ禍で観光客が途絶したことは「おかしのまちおか」にとって特大のダメージだったのだろう。2021年に閉店してしまった。 バブルとその崩壊、不良債権問題、インバウンドと社会情勢を映す鏡となってきた店舗を次に埋めるのは、どんなテナントなのか─―。 ■「リユース」の成長に抱いた複雑な思い そこに投資のチャンスがあるはずだと待ち構えていたが、一向に埋まる気配がない。繰り返しになるが、池袋駅北口から徒歩30秒の超絶好立地だ。