コロナ禍でも「成長業種」の兆しをいち早く発見、「銘柄発掘」のヒントは“ちょうどいい都会”にある
経済は止まっても投資を止めるわけにはいかないのが専業投資家だ。 「あの会社のトラック、よく街で見かけるな」と着目したのが物流企業のSBSホールディングスだった。巣ごもり消費によりインターネット通販が活性化し、SBSホールディングスの倉庫などへの需要も高まるだろうと見込んでいた。 確かに業績は拡大し株価も上昇したのだが、ピーク付近で大きく買い増ししてしまい、成長の鈍化が明らかになった2022年8月に最後の1000株を処分した。収支トントンでの撤退だ。
同じようなことはサイバーエージェントでも起きた。メディア事業の「AbemaTV(現ABEMA)」は年200億円の赤字を出していたものの2年後には黒字化する勢いがあり、ネット広告事業の成長も期待できたため、ポートフォリオをサイバーエージェントに傾けていった。 モバイルゲーム『ウマ娘』の大ヒットもあり株価は上がってくれたのだが、その後は反落。欲張った結果、売りどきを逃したまま現在に至っている。 SBSホールディングスやサイバーエージェントなど「ポートフォリオは傾けてなんぼ」を実践しても、資金を集中的に投下した銘柄がうまくいかない状況が続いていた。街角ウォッチが実践できなくなり、ネットや四季報頼みになっていたことの影響がじわじわと私の資産を蝕んでいった。
新型コロナウイルスは日本屈指の繁華街を日々、侵食していった。 私は変わらず街角ウォッチを続けていたが1軒、また1軒と店がたたまれていく様子に胸が痛んだ。 普段ならば「空いた店舗を次に埋めるのはどんな業態か」は重大なヒントになる。コロナ禍ではテナントが埋まらず空いたままの店舗も多かったのだが、埋まった店舗には気になる変化があった。 ■「中間層向け」の店から、「利益率」の高い業態に ひとつは業態ががらっと変わり、テイクアウトや立ち食いなど、安価な飲食店への交代だ。駅前のコンビニエンスストアは「おいしい! 早い! 新しい!」をうたう餃子の王将の新店舗となり、雑貨店だった場所には立ち飲みバーが入った。