「新しい資本主義」は、新自由主義の完全版か? 移りゆく世界の中で(3)
参院選で与党が勝利。政府は岸田首相が掲げる看板政策「新しい資本主義」で打ち出した成長投資の実行へ動き出す構えだが…。写真は青森市で参院選の街頭演説に臨む岸田首相=2022年7月6日
昨年9月の自民党総裁選で岸田文雄現首相が打ち出した「新しい資本主義」は、「結局、安倍政権から続く経済政策の踏襲がほとんど(「朝日新聞」2022年6月16日朝刊13版、2面)」、「いまだによくわからない(「同上」4面)」、「岸田氏がこだわっていた『分配』は、かすんだ印象が否めない(「東奥日報」2022年6月18日、2面)」などと、疑問の声がしきりではあったが、ここに来て、「岸田首相が訴える『新しい資本主義』は新自由主義の完全版を目指しており、着々と生活を破壊している。非常に怖い(「同上」2022年6月20日、2面掲載の「かく戦う:2022参院選」における、れいわ新選組の山本太郎代表の発言)という発言が飛び出した。この通りならば、当初の受け止め方とは正反対ということになる。山本代表が何を念頭に置いて、そのような発言をしたのかは定かでないが、「新自由主義の完全版」というのは、「印象操作」と言われかねないものの、実は、かなり的を射ているように思われる。なぜか?以下に私論を述べてみよう。(青森公立大学経営経済学部教授・藤井一弘)
本文:6,959文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。