初代ホンダ CR-Xはどこまでもカッコ良く乗って楽しいクルマだった!
標準エンジンでも滑らかさは上々だった。 だが、栃木バージョンのそれは、走り始めた瞬間から違いがわかった。滑らかさのレベルは完全に1ランク上がっていた。パワーもすぐ感じられるレベルで上がっていた。 滑らかさが増したのはエンジンだけではない。フットワークも滑らかになっていた。凹凸をパスする時の乗り味 / 接地感も明らかにアップグレードされていた。 栃木から戻ったCR-Xは、多くの点で完全にランクアップされていた。間違いなく、「日本一のFFライトウェイト スポーツ」に進化していた。最高のプレゼントをもらった。 僕が免許を取って初めて運転したのは「ダットサン110型セダン」。860ccのSVエンジンで出力は25ps。乗り心地も身のこなしもトラックと大差なかった。 箱根越えにしても、途中で休んだり、ラジェーターの水を補給したりして、「やっとなんとか」乗り切った。
そんな過去を思い出しながらちょっと感傷的になったりもした。「時の流れ」は十分理解しながらも、初めからこんなにカッコよくて楽しいクルマに乗れる息子が羨ましかった。 こんな原稿を書いていると、もう一度初代CR-Xに乗りたくなってくる。写真を見ていると、楽しかったあれこれが次々頭を過ってゆく。初代CR-Xは息子だけでなく、僕にとっても大切な思い出になっている。
● 岡崎宏司 / 自動車ジャーナリスト
1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。
溝呂木陽 水彩展2024 イタリア自動車巡り~La GITA in ITALIA~
1今年の6月に行って、ミッレミリアやヴェルナスカヒルクライムを回ったイタリアをテーマにした水彩画です。現地でのスケッチも展示します。皆様のお越しをお待ちしています。
原宿ペーターズショップアンドギャラリー
開催期間/10月18日(金)~10/23(水)12:00~19:00 毎日在廊 入場無料
文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト) イラスト/溝呂木 陽