歯周病に「重症度」があるのをご存じですか? 各ステージの「外科治療の要否」や「判断基準」も知りたい
歯周病の重症度で治療はどう変わる? 外科治療が必要になるのはどんなケース?
編集部: 歯周病は重症度によって、治療内容も変わるのでしょうか? 遠藤先生: 歯周病治療では重症度にかかわらず、はじめに「歯周基本治療」を必ず行います。その主な目的は、原因(プラーク)や歯周病を進行させるリスク因子の除去です。 代表的な治療に、「ブラッシング指導による適切なセルフケアの確立」「歯石の除去」「不適合な被せ物の修正や除去」「噛み合わせの調整」などがあります。 編集部: 歯周基本治療が一通り終わったら、次はどのような治療に進むのでしょうか? 遠藤先生: 先の一連の治療が終了したら再検査を行い、治療による改善の度合いを評価します。一定の改善がみられた場合はメンテナンスに移行しますが、改善が不十分な場合は次のステップとして「歯周外科治療」を行うことがあります。 編集部: 歯周外科治療をする・しないの判断はどのような基準で行われるのでしょうか? 遠藤先生: 評価基準はいくつかありますが、一例として、再評価の段階で4mm以上の歯周ポケットが残っている場合は歯周外科治療の対象となります。くわえて、レントゲン検査で確認できる骨の溶け具合(骨欠損の深さや範囲・形状など)も重要な判断材料となります。 編集部: 歯周外科治療では、具体的にどのような治療を行うのでしょうか? 遠藤先生: 歯周外科治療にはさまざまな種類と方法がありますが、代表的なものに「フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)」があります。この手術では歯ぐきの一部を切り開いて、目視で歯周ポケット内に残っている歯石や感染源を徹底的に除去していきます。 そのほかに、歯周病で失われた骨を再生させる「歯周組織再生療法」なども、外科治療として行われます。 編集部: 「外科治療」と聞くと少し怖いイメージがあるのですが、治療を受けないとどのようなデメリットがありますか? 遠藤先生: 歯周外科治療をせずに経過観察を続けた場合、歯周病がさらに悪化する可能性が高いといえます。 はじめの歯周基本治療で一時的に症状が落ち着いていても、プラークやそのほかの感染源が完全に取り除けていないため、歯周病が徐々に進行し、最終的に自身の歯を失う恐れがあります。 歯周病は自然に治ることがないため、進行を防ぐためには状況に応じて積極的な治療が不可欠であることもぜひ知っておいていただきたいと思います。